大磯で狐に化かされた

14日、気まぐれで大磯に行った。

所用あって「休日おでかけパス」(またの名を「ボッタクリデーパス」……といいたいところだがじきに「ホリデーパス」の存在も忘れられるのだろう)を購入したのだが、昼過ぎにはその用が済む。さてこの切符でどこに行こうか、どうせなら有効エリアの端まで行こう、と小田原を目指したけれど「ん、そういや大磯駅には古い駅舎があるんだっけ」と途中の大磯で降りたのだった。

つまり一言でいって気まぐれだ。

シンプルで端正なスタイルの大磯駅舎。オレンジ色の屋根瓦は南欧風というか南国風を意識?

駅舎とロングビーチ以外に何があるとも知らない土地で、ビーチに行っても仕方がないから、とりあえず近くの神社に行ってみることにした。スマホの地図をみると、へぇ、ずいぶんたくさんあるんだな。おまけに今日は、どうもお祭りらしい。

まずはとりあえず、駅から最も遠い神社を目指すことにする。「正一位永室助稲荷神社」……正一位は稲荷神社にかかる肩書きだからいいとして、永室もしくは永室助は何と読むのだろう?

予想してなかったわけではないが、これがいきなりの急坂。10分も歩かぬうちに海岸が展望できる高さにまで来てしまった。


そうこうする間に目指す神社のそばまできたが(下図A)、神社へ抜ける道は無し。

道のほうがずっと高いので、屋根か鳥居でも見えるかと思ったが、草木に阻まれてそれもかなわず。

未舗装道、というかちょっとした山道を行き、土を固めただけの急な階段を下りて(上図B)、正面に回り込んだが……(上図C)。
「立入禁止」。


これは別荘か保養所で、使用はおろか手入れもろくにされていないものの、所有者はその所有権を主張しているのだ。いずれにせよ私有地を突っ切っていくわけにはいかないし、私有地を通らなければ参拝できない神社もあるまい。

しかし、ともかくも神社へのアプローチは無い。比喩抜きの「道無き道」を進まないとたどりつけない場所なのだ。

……あるのか、そんな神社? 深山幽谷の果てだの、何かしらの事情で秘匿された聖地でもあるまいに。第一、参拝を拒むかのような神社ならそもそも地図に載っていないだろう。

どうにも釈然とせぬまま、すぐ近くにまで行ったはずなのに、所在の確認さえできずに神社を後にすることとなった。狐に化かされたような気分だ。


ただ、単に地図が間違っているだけという可能性も否定できない。上の写真はx地点にあったほこらで、何をまつっているかは不明だが、陶器の白い狐が並んでいて、稲荷社だと推察される。あるいはこれが永室助稲荷神社なのだろうか。