「寺社仏閣」との誤用はいつから?

イーロンのSNSに「校閲で指摘されるまで「寺社仏閣」と言っていた気がする」という旨の投稿があった。私はマァ「目にしたことがある」という程度には……ああ念のため正しくは「神社仏閣」……「寺社仏閣」を認識していたのだが、togetterまとめのコメ欄には「初めて聞いた」という声も少なくない。

togetter.com

上記リンク先のコメ欄にあるとおり、かの忌まわしき『記者ハンドブック』(共同通信社)p463、「誤りやすい語句」一覧にも…。

寺社仏閣→神社仏閣、寺社

と収められていることも確認した。ご丁寧にも「寺社は『寺と神社』、仏閣も寺なので重言になる」との注釈付きだ。

 

なるほどそれなりに多い誤りなのだな、と思ってしまうところだがちょっと待て。現在の『記者ハンドブック』は2022年発行の第14版だ。では一体、どの版から「寺社仏閣」は収められているのだろう?

 

そこが気になって先日、国会図書館まで出かけて『記者ハンドブック』を閲覧してきたのだが、結論から言うと「寺社仏閣」は第14版が初収載。2016年の第13版およびそれ以前の版には載っていないのである。

 

さらに、ここまで来たのだからと(自宅でも出先でも可能なのだが)国会図書館サーチで ワード "寺社仏閣" を検索してみた。

データベース作成時の誤字もあるから(「最も古い1996年の「関東霊山紀行 : 信仰の山歩き41」はそれだろう)確定的には言えないが、おおむね2000年代後半から散見されるようになった誤記といえそうだ。

 

……何故に?

時期はまぁこんなところとして、どうして増えたのかが推測もできない。検索結果をざっと見て、この中に「普及」において大きな影響力を持った本があったとも思えない。無論「国会図書館サーチや記者HBがカバーしていないだけでこれより前から『寺社仏閣』はありがちだった」可能性もあるが、「この時期の出版物から国会図書館サーチも把握するようになった(それほどに増えた)」と捉えるべきだろう。ううむ、分からん。