「人間ドッグ」という漫画があった

昔むかし子供の頃、マンガ雑誌は家族旅行の折に時間つぶしとして買ってもらえるだけだった。ところが家族旅行のタイミングで駅の売店で売っているのは増刊号のたぐい。名の知れた連載作品は全く載っていない、聞いたことのない読切タイトルばかりの雑誌では、ろくに時間つぶしにもならなかった。

 

そんな中、タイトルのインパクトだけで記憶に刻まれた作品がある。その名も「人間ドッグ」。まだ出回り始めたばかりだった「人間ドック」という言葉をひねりながらもストレートに、人間のように直立して服を着て言葉をしゃべる犬が主人公、という作品だ。

 

タイトル以外はほぼ何も覚えておらず、掲載誌も作者も分からないから、試しにググってみてもそれこそ「人間ドック」の打ち間違いがヒットしてしまうという状況。タイトルがはっきり覚えているのに素性のつかみようがない、と思っていた。

 

ところが不意に、もう一つ思い出したことがある。劇中で観に行く映画が『ミテオ』といった。となれば『メテオ』のもじりで、そこから1979年に発表された作品だと絞り込めた。

 

「マンガ "人間ドッグ" "1979年"」でググると……果せるかな、「週刊少年チャンピオン1979年掲載データ」がヒットする。

https://pyuupa.flop.jp/keisai/1979y.html

そしてこの「人間ドッグ」は、「プラモ狂四郎」の大ヒット以前の やまと虹一作品だと知るのだった。同年発表の前作は「ペットショック」というそうで、なにかこう一貫性を感じてしまう。