『秘密戦隊ゴレンジャー』#29「なぞの封印列車」

ファミリー劇場で『秘密戦隊ゴレンジャー』を観ていたら、いきなり電気機関車が牽引する貨物列車が映った。第29話「なぞの封印列車」の回で、サブタイトルどおりこの列車がメインとなるらしい。鉄道が出てくるとなれば場所を特定したくなるのがマニアの性分というもの(またか)。
この電気機関車、まず国鉄型でないことは間違いない。だが私は、一見して形式が判別できるほどには、私鉄の電気機関車には詳しくないのだった。貨車の横に描かれた社章もくっきり映っているのだが、悔しいことに私はそれもどこの会社かわからない。
しばらく観ているとナンバープレートが映ったが、それも頭の「ED」までで切れていて特定できない。
ならば溺れる者は何とやら、有蓋貨車の番号「ワラ6772」を手がかりにググってみる。有蓋貨車の形式といえばワムかワキがほとんど、ワラはちょっと珍しいから特定しやすいのではと思ったのだ。……うーむハズレ。形式はワラ6000形かワラ6700形と推察されるがそれでもヒットは無い。
ならばもうひとつ、無蓋貨車のトム602、トム605ではどうか……。ヒット。トム600形で判明、これは相模鉄道の車両だ。
会社がわかれば今度は「相模鉄道 電気機関車」で画像検索。OK、ゴレンジャーに登場したのはこのED10形で間違いない。
会社がわかれば場所も自ずとわかる。「えぇい、付き合いきれねぇ!」と鉄人仮面テムジンが職場放棄を図った直後、後ろのほうにある高架線上を白い通勤電車が走っていく。あれはおそらく小田急線の電車だから海老名のあたりだ。撮影地はまず間違いなく、国鉄相模線と並行している相鉄厚木線(相鉄貨物線)だろう。
それにしてもこの回、相模鉄道の撮影への協力が半端なものではない。そもそもこの列車、敵役の黒十字軍が走らせているものなのだ。つまり悪役側。しかもお約束のひとつ、「囚われた主人公が線路上に縛り付けられ、列車が迫ってきて危機一髪」というシチュまである。それどころか、戦闘員のひとりは轢かれてしまうのだ!! よくまぁこんな汚れ役を引き受けたものである。社名こそ出ないが、社紋はバッチリ映っているのに…。
基本的には、停まっている車両の上で撮影し、それとは別に撮影した車両走行中のカットをつなぎ合わせることで、走っているかのように見せかけるというよくあるパターン。だが、黒十字軍の戦闘員は実際に転轍機(ポイント)を動かしているし、その戦闘員の横を列車が走るシーンもある。つまり、実際に動いている列車と役者とを絡めて撮っているのだ。
停まっている車両での撮影にしても、有蓋車の屋根の上でアカレンジャーとトビラ仮面とが格闘を繰り広げるなんて場面があり、なんというか「こんな撮影ホントに許可したの相鉄さん!?」とさえ思えるほどだった。