相鉄本線〜厚木基地引き込み線

7月15日付で「厚木基地1・3ヘクタール返還へ日米が合意」という記事があった。
http://www.kanaloco.jp/article/264532
基地の敷地1.3haといわれても???だが、つまりは厚木基地への引き込み線(1998年以後休止中、事実上は廃線)の敷地が元の地主に返還されるという話。となれば遠からず廃線跡が再開発されるだろうと本日訪ねてみた。
 
結論から言うと、大変面白かった。①レールと架線が全線現存している ➁ほぼ全線たどれる(もちろん、廃線跡自体を含めた立ち入り禁止の場所は通らずに) ③徒歩でたどるのに手頃な長さ といった具合。首都圏で廃線跡に興味のある方は一度訪ねてみても損はないでしょう。
 
では、実際に歩いた順とは異なりますが、相模鉄道相鉄本線相模大塚さがみ野駅間にある分岐点からたどっていきます。

分岐点の踏切。奥に向かってさがみ野駅、引き込み線は背後に続いていきます。

同一地点から基地方向を見る。すぐに黄色いフェンスで塞がれています。関係ないけど「木漏れ日」というのは日本語独特の表現だそうな。

フェンスの向こう側、設置者の名義は「相模鉄道株式会社」。ここは近隣住民用に事実上の踏切となっていました。

本線を行く相鉄線の列車。

フェンスを背にして基地方向。民家の軒下をくぐる感じが実に専用線らしい。


架線柱は多くがコンクリート製だが、一部はなんと木製だった。

「STOP でんしゃにちゅうい」


踏切警報器もほぼ全て現役当時のままだったが、一基だけは撤去されて基部だけ残るアベサダ状態。どういう事情だろう。



夏草に埋もれているのは当然として、沿線の木立が線路上に張り出し、架線まで完全に覆ってしまった区間も。廃線のわびしさを思う。

東名自動車道を跨ぐ。


東名自動車道を跨いですぐにあるこの踏切は「航7」らしい。それが何の略称かは不明だが、とりあえず7の字体がカッコイイ。

舗装されているのに警報器がない、警票すらない踏切がいかにも専用線。その先でカーブを描くと……。

正面はもう厚木基地だ。

基地の手前、線路の傍らには三角コーンに囲まれた「国有地」があった。元は何の用地だったかは不明。


フェンスの向こうが厚木基地。鉄道施設は完全に撤去されていた。
http://www.geocities.jp/takeshi_departure/atsugi.html
ちょうど10年前、2007年05月02日付の↑レポートには、フェンスではなくゲートで基地内にも鉄道施設があった頃の写真が掲載されている。

フェンスを背に、相鉄線方向を振り返る。
 
現状、非常に状態の良い廃線ですが、はじめに書いたとおり敷地の返還が決定した以上はいずれ再開発の手が入ることでしょう。それがいつとはわかりませんが、今のうちに訪ねておくことをお勧めします。