沼津・蛇松線跡

7月19〜21日の東北旅行も、14日に出かけた筑波の地下戦闘指揮所跡も充実した旅行だったのだが、廃線成分が不足気味だったので、ちょっと沼津まで出かけてきた。目的は蛇松線(沼津港線)の跡。詳細はググれ。私にはこれが初の訪問。

グーグルマップを切り出してみた。端から端まで行くだけなら片道30〜40分程度。

1の地点から北を向き、沼津通運倉庫の建物を見る。


他所のサイトでは、この建物内まで線路が残っていた様子がレポートされているが、残念ながら今はご覧のとおり。
http://www.geocities.jp/takeshi_departure/numazu.html
(DEPARTURE > 廃線専用線 > 蛇松線(沼津港線)跡)
http://www2s.biglobe.ne.jp/~nyunta/haisen/jyamatu/
(詳細不明、「旧国鉄 蛇松線(沼津港線) その1」)

ちょっと駅寄りに戻る。ビルの曲がりっぷりから察するに、奥のトラックが止まっているあたりにかつてレールが通っていたようだ。
 
さて、蛇松線は「蛇松緑道」としてきれいに整備されている。それ故に歩きやすいが、廃線跡として見るべきものはほとんど無かったりする。今日の天気はうす曇り、雨にも降られず散歩には格好の日和だった。蝉しぐれの中、ひらひらと舞うチョウチョやちょろちょろ泳ぐ小さな魚などを眺めてのんびりと歩く。


が、話はいきなり2の地点に飛ぶ。ここには大きな公園がある。かつてはここで、東の蛇松方面(3)に向かう旧線と、南下して(4)沼津港に向かう新線とに分岐していた。


まずは3の地点へ。終点があったと思しきあたりに8本スポークの車輪と腕木式信号機が飾られていた。特に解説は無く詳細不明。サイズ的に貨車のものと思われるが自信はない。

蛇松町
その昔、この地に蛇のようにくねった松があり、この松を蛇松と呼ぶようになった。明治21年東海道本線建設のために海上輸送されて来た資材を駅建設予定地に運ぶ貨物専用線がこの松の近くを起点として敷設され、この線を蛇松線と称した。(現在の蛇松緑道である。)松は、鉄道敷設のとき伐採されたが、昭和21年以後、この付近に人家が増え、松の由来から、町名として呼称するようになった。

近くに掲げられていた、町名由来の解説板。路線名が名付けられた時点では「蛇松」は地名では無かったというのが面白い。ていうか「鉄道敷設のとき伐採」の、何というか本松転倒感。いやいや、伐採せざるを得なかった松を、せめて名前だけでも残そうとして路線名にした……と捉えよう。

2の公園まで戻って、今度は4のほうへ向かう。廃線趣味としてはこちらが本番で……。

いきなりレールが残っている。え? 見えない?

ほらここに。

ガードレールにレールが守られているという奇妙な状態。緑道やサイクリングコースになった廃線跡にレールが残っている(残してある)ケースは今までいくつも見てきたが、こんなのは初めてだ。しかもこのガードレール、基部はレールの内側にあって、いったいどうしてこんな敷地の使い方をしているのか見当がつかない。

少し先では両方のレールがアスファルトに埋もれた状態になる。中央奥の「←」矢印があるところは、かつて踏切があった場所のようだ。

踏切跡の先で、今度は土に埋もれた状態になる。レールの残し方がどうにも中途半端で、ひょっとしてこれ、一度線路をはがした後で埋めなおしたものでは? などと思いながら注意深く見てみると……。

レール側面のアスファルトが一部はがれて、枕木が露出しているのが見えて、廃線をそのまんま埋めたものだとわかる。緑道やサイクリングコースになった廃線跡にレールが残っている(残してある)ケースは今までいくつも見てきたが、これもちょっと見た覚えが無い。

ただ、すこし先でレンガブロック舗装の歩道になっていて、このレールはさすがに後からつけ直したものだろう。踏切風の部分は、あるいは実際ここに踏切があったのかもしれないが。

大きな通り(県道159号)を渡って、なお歩道上にレールが残っていた。これもおそらくつくり直しだろうが、位置はここだったのだろうなとも思う。画像中央奥に「沼津港マーケットモール」、かつてはここに第一市場があり、蛇松線の終点だった。

傍らに、「2120型タンク機関車」と「蛇松」の写真が掲げられていた。
せっかくここまできたのだからと、シーラカンスだのダイオウグソクムシだのの展示があるという「沼津港深海水族館」に寄ってみようかと思ったが、なんと入場待ちの大行列ができていた。隣にあるご当地ファストフード店「沼津バーガー」で遅い昼食を取りながら様子を見ていたが、そのうち短くなったものの流れの悪い行列は相変わらずで、このうえ入館料1600円とあってはさすがに付き合いきれず駅に戻ることにした。
なお、沼津バーガーは「深海魚バーガー」「金目鯛バーガー」「マグロバーガー」などの珍メニューをラインナップ。私はマグロバーガーとイカタコナゲットを食べたが、味オンチなもんだからマグロだろうと合挽きだろうと区別が付かないし、ナゲットってこれさつま揚げじゃねーか!という感じで、私にはやっぱり普通の人みたいな観光は無理だと改めて思い知った。




廃線跡というか緑道散策の途中、道の向こうに何やら廃屋が見えたので近寄ってみた。

ところが、正面に回ってみるとこれが非常に凝ったデザインの近代建築だった。

併設していた倉庫か工場、あるいは店舗を取り壊して、事務所部分だけを残したのだろうか? 玄関の形状などをみるに、現状では私宅のようなので撮影は程々にして立ち去った。