すこしふしぎを継ぐ者

未確認少年ゲドー (4) (ジャンプ・コミックス)
(作者: 岡野剛 出版社:集英社 発売日:2005/04/04)

傑作と評価すべき回が集中してしまった巻。「アイデアをどう転がし、あるいは複合させるか」の教科書にもなるので、どんな形であれ創作に関わる者なら読んでおくべき。「マタンゴ冬虫夏草」「未確認少年ゲドー+チェシャ猫」「セロ弾きのゴーシュ+サボテンロック(懐かし…)+耳無し芳一」……どんな話か想像してみよう(笑)。人面疽やチュパカブラといった怪現象・怪生物の「正体」のアイデアも唸らされるぞ。
しかもアイデア自慢だけで終わらず、「怪物と心を通わせられるのか?」というトラディショナルなテーマに取り組み、あるいはルーズベルトの「美談」に疑義をとなえたりと、物語性においても意欲作ぞろい。「やっぱり努力が大事」「厳しい先生こそが良い先生」といった真っ当至極な教訓が物語の味付けになっていることも評価されるべきでしょう。
また、森で出会った熊さんが「白い貝殻の小さなイヤリング」を拾っているわ、足袋野(タビノ)くんは膝の人面疽を「ヒザえもん」と名付けるわの脱力系の小ネタもサービス精神旺盛と受け止めたいところ(笑)。
今のジャンプでは人気が出ないのは当然としても、もうちょっと評価されないものですかね……。まぁこの後の5巻(完結)はだいぶどうでもいいんだけど。