漫画脳というブログが「チャンピオン読者が選ぶ!このマンガが面白いぞっ☆2011」なるランキング企画を実施されている。
http://blog.livedoor.jp/manganou/archives/51561075.html
私はランキング企画にはあまり興味が無く、『このマンガがすごい!』などは全く読んでなかったりするのだが、「チャンピオン読者が選ぶ!」というマイナー縛りが面白いし、この機会に『週刊少年チャンピオン』連載マンガのどれがどうすごいかの整理方々、参加することにした。
以下、まずはランキングを書き出し、作品評は後にまとめている。
●秋田書店作品部門(週チャン作品除く)
1位「AI:パト!」
2位「幕末世界 〜攘夷〜」(グランドチャンピオン連載)
3位「れすきゅーME!」
●秋田書店以外部門
1位「エレメントハンター」
2位「カラー愛蔵版『坊っちゃん』の時代」
3位「めだかボックス」
4位「それでも町は廻っている」
5位「空想科学X」
●週刊少年チャンピオン部門
1位「ナンバデッドエンド」
2位「バチバチ」
3位「AL」
4位「ギャンブルフィッシュ」
5位「りびんぐでっど!」(51号から4話の短期集中連載)
番外「フジタチバナ」(にくぼしブログ再掲)
ほか、単行本を買っている作品に「侵略!イカ娘」「はみどる」「フルット」。単行本にはなりそうにないNJ先生にも票を投じたいところ。このほか、一般に週チャンの看板と認知されている「ドカベン」と「バキ」と「浦安」があり、今般のランキング企画で上位にくるであろう「弱ペダ」「みつどもえ」があり、次代の担い手3stars「ケルベロス」「シュガーレス」「ハンザスカイ」があり……「週チャン」の連載陣て、ものすごく層が厚いよな。なんで4誌中4番手に甘んじているんだろう。
■作品評/秋田書店作品部門
「AI:パト!」
- 作者: やぎさわ景一
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2010/07/20
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(http://d.hatena.ne.jp/UnKnown/20100806)
「幕末世界 〜攘夷〜」
- 作者: 森田信吾
- 出版社/メーカー: 小池書院
- 発売日: 2010/07/17
- メディア: コミック
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「れすきゅーME!」
- 作者: 巻田佳春
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2010/03/19
- メディア: コミック
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ヒロインがそんなんだから主人公はドン引き。奥手の純情少年でいられるはずはなく、もちろん誘われるままヒロインを押し倒すようなケダモノでもなく、さりとて女の子の気持ちに気づかない唐変木でもなく……ツッコミ役。
「ところで……私の水着はどうでしょうか?」「まあ普通っぽくて良いと思いますがさっさと服を着て下さい」「まあ♡正行さんの好みを考えて買った甲斐がありました」「人の話聞いてます?」…って、なんだその淡泊極まる草食系リアクションは。
売りはもちろん、いかにも『チャンピオンRED』的なギリギリのエロ描写なのだが、一面、主人公の淡泊さがエロを突き放してギャグに転化している。「エロ描写は傍目から冷静に見れば滑稽である」という自己言及的なギャグが、そのエロ描写自体の魅力と併存しているという、何者にも代え難い作品だ。
- 作者: 中島諭宇樹
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/01/04
- メディア: コミック
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- 作者: 中島諭宇樹
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/08/04
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(http://d.hatena.ne.jp/UnKnown/20100806)
「カラー愛蔵版『坊っちゃん』の時代」
- 作者: 関川夏央,谷口ジロー
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2010/12/15
- メディア: 大型本
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(http://d.hatena.ne.jp/UnKnown/20110111)
「めだかボックス」
- 作者: 暁月あきら,西尾維新
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/12/29
- メディア: コミック
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■作品評/週刊少年チャンピオン部門
「ナンバ デッドエンド」 まだ完結していないが、いずれにせよピークは「ヤンキーと進学校生徒との二重生活」がついに崩壊した2010年だろう。進学校に通っていることが家族にバレての衝突と和解、一方で学校にはヤンキーの顔がバレての退学の危機、そして友人たちの抗議活動による退学の撤回……。これだけでも十分に盛り上がったのだが、そこからさらにひと波乱あり、予定調和的な「めでたしめでたし」にならなかったのが凄い。凄過ぎてちょっと滅入るほどだが、「善き社会の成員がヤンキーの更正を拒む」というリアリティには社会派の重みさえある。
「バチバチ」 とにかく絵が巧い。リアルな相撲の取り組みを描くので、マンガらしいハッタリを欠くのだが、構図とコマ割の妙によって読者を引きつける。ここらへん、ボクシングの試合だろうとネジレたりトンだりで奇をてらい過ぎな「バキ」とは好対照だ。現実の大相撲がグダグダの醜聞まみれで、そのタイミングの悪さが気の毒。
「AL」 人間不在の恐竜(だけ)漫画。キャラ立てやストーリーは少年漫画のお約束に則りつつ、そこに確かな知識に基づく恐竜描写を融合させた神業を見よ! ごく表層的に「恐竜たちがヤクザ言葉で話し、シマを巡って抗争を繰り広げるトンデモ漫画」として読んでも面白いと思うのだが、パッとしないまま打ち切りになったのが残念。恐竜対ワニの異種格闘戦などは、人間対カマキリの比でないほどエキサイティングだったんだけどなー。
「ギャンブルフィッシュ」 「お疲れさまでした」の気持ちで一票。絵柄が少年誌向きでない青山広美は原作に専任させ、作画にジャンプでは不遇の打ち切り作家だった山根和俊を据えたディレクションが絶妙だった。もちろん、作家それぞれの力量が高いからヒットに結びついたのだろうけど。
「りびんぐでっど!」 第5位は序列を付け難いので、短期集中連載の作品を上げておく。ここで名前を出しておかないと、私自身忘れてしまいそうなので。「しゅーまっは」か「学校怪談」あたりの流れを汲む「チャンピオン」伝統の萌えグロというかグロギャグ、作者はさと。今まで知らなかったのだが、他社で単行本出してたり他誌で連載持ってたりするのね。再びの「チャンピオン」登場を期待して待つ。
本当は「フジタチバナ」を5位に推したいところなのだが、発表形態が特殊なので番外で。にくぼし名義で発表された作品のなかで、これが一番好きなので再び読むことができてうれしい。