ふいとショートショートの一本でも書こうかと気まぐれをおこし、しかし日頃そんなことなど考えていないから、実体験の奇妙な出来事を遡る。
そうして思い出したのが、この建物だ。無愛想極まる四角いコンクリート造の建物、オフィスなりアパートなりにしては窓が少ない。工場か? それにしては出入り口が小さい。トーチカ? こんな場所にあるわけがない。高い煙突がある、ならば火葬場か? その可能性も否定できないがそうではない。これは、銭湯だ。
煙が出ていることからわかるだろう、前世紀の終わりの訪問時には現役の銭湯だった。私も、二度訪ねた二度目はお風呂セット持参で入る気まんまんだったのだが、そこで実際何があったかは、今はさておく。
場所は調布市内、世田谷区との境界近く。当時どういう道のりでここにたどり着いたかも、概ね覚えているつもりでいたが、今Googleマップを見ても何故か思い出せない。写真に写っている「そば処 増田屋」というヒントから目星がつくと思いきや、ググって位置を示されても何だかそのあたりではない気がしてしまう。
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数日前に見たときにどうして違和感を覚えたのか自分自身分からないほど、そこにあった。
ついでに国土地理院地図サイトで航空写真を参照する。
現状で最新版の2007年〜の最新写真にはこの四角い建物(十字印の左)が写っているが、
1961〜64年まで遡るとまだ建っていない。様式というか外見的にもその頃の建物という感じではあるが、一体どんな需要を見込んでここに銭湯を開業したのか、そして何故にこんな無愛想な建物にしたのか? 私の記憶のボンヤリは晴れたものの、過去を知ったら尚更謎を増した怪建築だった。