F-104は"ultimate manned fighter"と称された、との説はどこまで本当か

雑誌『丸』2014年5月号掲載の記事、「F-104 スターファイターの栄光」を今一度取り上げてみる。

一九五六年二月一六日、この新型機が空軍によりバーバンク工場で初めて記者公開された。およそ二年間にわたる極秘のテストの結果、XF-104に比べるとずっと洗練された戦闘機に生まれ変わったこの機体はYF-104Aの二号機だったが、記者会見で空軍はこの戦闘機を「The Ultimate Manned Fighter(究極の有人戦闘機)」という表現で説明した。
このため新聞や雑誌、ニュース映画などは「人間が乗る最後の戦闘機」として紹介し、このニュースは世界中にすさまじい戦闘機が出現した、という話題を提供した。

エア・カーの話(http://d.hatena.ne.jp/UnKnown/20150723)を書いていて、ああそうだ、当時の新聞や雑誌よりもニュース映画のほうがリーチしやすいわ、と気が付いた。ビバ・インターネット。
てなわけでようつべで検索かけてみた。
まず、"ultimate manned fighter" では1件のヒットもありません(知ってた)。
ultimate manned fighter では「The Last Manned Fighter Jet」云々がヒットしますが、

現代の戦闘機の話です。
一方、"Missile With A Man In It"で検索すると、はいこれ。

まさに当時のニュース映画がヒットします。ビバビバインターネット。
私はヒアリングに自信はありませんが、The Ultimate Manned Fighter 、あるいはLast Manned Fighter とは一言も言っていないことくらいはわかる。
……問題の『丸』の記事、もう「記者会見で空軍はこの戦闘機を「The Ultimate Manned Fighter(究極の有人戦闘機)」という表現で説明した」という部分も疑っていいよね? 「ニュース映画などは「人間が乗る最後の戦闘機」として紹介」「世界中に話題を提供した」なんて尾ひれが無ければもうちょっと信じられたんだけどね。