最近観たTV番組

Gレコから結城友奈の1時間はひどく消耗させられる。どちらも「ながら視聴」ができず時間の効率が悪い、という問題も大きい(ここまで賛辞)。80年代をリードして2000年の『ターンエーガンダム』で終わった「トミノ調」の失地回復と、2000年代(ゼロ年代)を代表すると言っていい「セカイ系」の総括とが1時間の中で連続しているんだから、そらまあ消耗もするわな。
 
「Gのレコンギスタ#12
「見なければ何もわからない!」
「見てもよくわからないよ!」
……ってほどではないけれど、いやホント、「ながら視聴」だと容易に話に置いておかれてしまう。アメリア正規軍と海賊部隊で思惑の差が出るかと思いきや割と普通に共同戦線を張ったり、そのくせ正規軍の目をごまかすためかGセルフは拿捕したふうを装ったり、親子喧嘩のように見えて実はこれこそ正規軍と海賊部隊の思惑の違いだったりと、一筋縄で行かないから良くも悪くも気が抜けない。キャピタルガードと海賊部隊のほうにしても、今さら対立はしないだろうけど「罰当たりめ!」だったりするしな。

その一方、今回のサブタイトルでもある「キャピタル・タワー占拠」は視聴者に見えないところで粛々と計画通りに、遭難船(「行動不能のビーグル類」って言ってたけどそれはビークル…)偽装作戦によって大成功というのも凄い。普通はここで、果たして受け入れられるか否かでドラマを作るよなあ。
 
結城友奈は勇者である#10
なるほど、こう思い切ったか…って3話連続で「なるほど」と書いているが実際感心しているからしょうがない。色々あるけどまずひとつ、今回明かされた世界の状況の件。壁の向こうはウイルスで滅亡寸前の世界だと言われていた。ところが実はバーテックスの世界でした! ……なんて展開、考えついたってふつうはやらないよ。

だってドラマとして無意味だもの。

例えば、壁の向こうには理想郷があると言われていたが実は……とかなら、伝承と無慈悲な現実との落差でドラマが生じるけれど、謎のウイルスが蔓延している世界とバーテックスの世界とでは大差がない。大体、本編中ではウイルス云々からして断片的にしか触れてなかったし、結界を越えた向こうに思いをはせる話も無かったから、ドラマが生じようもない。

でもこれはただ拙いのではなく、わかっててやっているのだ。だって、落差のドラマのほうが普通に思いつくし、作るのはずっと簡単で、楽で、視聴者の感情をチョロく動かせるもの。作り手にとってもそっちのほうが良かったはずだ。

じゃあ何でこんな無意味な設定を盛り込んだかといったら、そらまあ「彼女たちの周囲だけが世界の全て」という状況を物語構造だけでなく、設定のレベルでまで突き詰めたかったからでしょう。こうまで思い切られたらツッコミようがない。「彼女たちの周囲しか描かれていない」のではなく、実際に「彼女たちの周囲だけが世界の全て」なんだから。

しかもなんでそんな状況かといったら、「天の神様の粛清」だという。こうまで思い切られたら以下同文。実は巨大な宇宙移民船の中で〜とか(ネタが古い)、宇宙の熱的死を防ぐためエントロピーを〜とか、そういう設定があれば説得力はそれなりに増すし作品が膨らみを増すけど、同時にツッコミどころも生じる。でも神様がやらかしたことだと言われちゃあ、もう何も言えない。

もうひとつ、「大人」の位置付けの問題。今回、東郷さんの母親が登場したけど、やはりというかこれまた例によって顔も声も無く、言ってしまえば「東郷さんの側がそれをどう受け止めたか」だけを描いている。

セカイ系に対して問題意識があるなら(念のため、この場合の「問題」は「改善すべき難点」という意味でなく「気にすべきこと」くらいの意味)、普通はそこにカウンターを当てる方向でなんとかしようとするものだけど、逆に深く突っ込んでセカイ系を極める方向に行っているのがすげぇなあと毎回思う。

ただ、それで作り手は何を目指しているのかが分からなかった、この先に何があるのかは予想できなかった。これをやって一体なにか意味があるのか? と思っていたけど、あった。たったひとつだけ。どういう段取りかは分からないけど、これの最後は喩えて言うなら「『気持ち悪い』とも『おめでとう』とも言われない人類補完計画」になるんじゃないかなあ? だったらやる意味もあるだろう。いや実際どうするかはわからないけどね。
 
ハピネスチャージプリキュア!#44
前回の感想のコメント欄でめぐみ悪堕ちを予想していたら本当にそういう流れになってちょっとドキドキ。ていうかこれもやっぱりブルーがちゃんとケアしなかったからだよなあ……。パジャマパーティという名の悪口大会で彼女たち自身によって解消されてしまっていい問題じゃあないんだけど、作り手はそのあたりどこまで意識できてるんだろうか(ブルーというキャラ本人にはもう期待しない・苦笑)。めぐみの失恋がどうだという以前に、世界の存亡がかかってるんだよ?

いやまあ、♪今日も告白したかったよ(パパヤパヤ)地球のため、みんなのためそれもいいけど〜がプリキュアの精神であるなら、「ハピチャ」はその体現と言えるんですけどね。

もう一つの予想、「誠司はブルー、レッドに並ぶ新たな神セージ(グリーン)として覚醒する」というのは外れましたが、立ち位置は何となくそんな感じに。でもこれではこの先「誠司が救済されて終わる話」に成らざるを得ないんですが……。そっちのほうに向かってる作品だったかなあと色々「?」が頭に浮かびます。めぐみのほうは今回友情パワーで悪の誘惑断ち切っちゃったし。ていうかこれもやっぱりブルーが「恋愛禁止」って言ってたのが遠因じゃねーか!

んー、「アガペー(あるいはフィーリア)的な愛で世界を救ったキュアラブリーだが、最後はエロース的な愛で誠司を救う」という話でまとまるのなら、「ブルーはアガペーに重きを置いたがためにミラージュのエロース的な愛に応えなかった」という事の発端とうまいこと対を成すんだけれど、でもそのブルーとミラージュの関係はもうすっきり解決済みだからどうしたって収まりが悪いよなあ。