栃木〜宇都宮の旅

3月第2週の土・日曜、ふと思い立って栃木に行ってきた。何故思い立ったか、その理由を言い出すと、私は結局、他人の不幸や非業の死をただニュースとして消費しているのだなという話になってしまうので詳述しない。まぁそんなこんなで、3月1〜3日の静岡旅行の話は後にして栃木のこと。

栃木駅から「目的地」までは公共交通の便がなく、40分強歩くことになる。おもちゃのまち駅から徒歩30分のおもちゃ博物館といい、つくづく田舎は車社会だ。まぁ私には道端のあれやこれやを見る楽しみがあるので、天気が良ければ歩きも苦にはならない。

箱森町の十二社神社に庚申塔(左端)や十九夜様(右の2つ)が並んでいたので写真を撮っていると、近くのおじいさんが話しかけてきた。
「元はこっちのほう(道路際)に立ってたんだけど、角の見通しが悪くて危ないってんでこっちに動かしたんだ」
「この大きいの(写真左から2番目)は動かしたときに3分割されちゃった。古くて地元の人間にも何が書いてあるんかわかんない。【元々何だったかわからないんですか?】そう、わかんない。残りふたつはあっち(社のむこう)においてある」
「十九夜様はホラ、女の人の神様だから。あっちに立ってた頃は、十九夜に婆さんたちが集まって念仏踊りをしてたけど、今は踊んないね。口の中でなんか言うだけだね。何言ってんだかわかんねえんだ(笑)。【今も十九夜の集まりがあるんですか?】うん。四月の十九日にね。女の人の集まりだけどね」
思いがけず面白い話を聞けてしまった。十九夜様の基礎知識があって良かったな。こういうことがあると、史学民俗学のフィールドワークの手法も基礎くらいは学んでおいたほうがいいかもと思う。


これも十二社神社境内にあった「軍馬霊神」の碑。


箱森町内だったか野中町に入ってからか判然としないが、神社とは無関係にもうひとつ「軍馬霊神」碑が立っていた。この一帯は牧場だったとか?

「馬霊神」でググると「馬櫪神/農耕や重量物の運搬に重要な役割を果たした馬の息災・安全を願って祀られた馬の守護神。「馬霊神」などともいう。」といった解説に行き着くが(http://www.phoenix-c.or.jp/~billanc-/machikado/sekihi/setumei.htm)、「軍馬霊神」がワードだとグッとヒットが減り、しかも鹿沼市栃木市に偏って分布している。調べてみても面白そうだ。


道端に古い自動販売機。もちろん放置されたものなのだが、なんでこんな場所に二機並べているのだろう。




そんなこんなで、これが目的地の栃木駅旧駅舎。現在は「魔方陣スーパーカーミュージアム」のエントランスとなっている。というかパンフレットの説明を読んだ感じでは、移設した旧駅舎に機能を持たせるためにミュージアムを開設した模様。

【魔方陣スーパーカーミュージアム
昭和3年に建てられた旧駅舎は栃木市のシンボルとして永きに渡り市民に親しまれてきました。しかし、平成13年2月栃木市より、駅周辺の高架事業に伴い旧駅舎の将来にわたっての保存が危ぶまれるとの発表がなされ、その後、署名運動によって約4,700名の署名が集まり当事業の大きな原動力となりました。移築するにあたって「生まれ変わった駅舎を是非もう一度未来に向けて活躍させたい」との思いから <魔方陣スーパーカーミュージアム> を併設しました。
http://www.mahoujin-lp400.jp/ …なんてURLだ)



中はぶっちゃけ、ただ車が置いてあるだけ。もちろん車そのものが貴重な名車であり展示物なのだが、正直「入館料800円でこれだけ?」感は否めない。ただまぁ、駅舎保存・名車保存という文化活動に対する協賛金だと思えば800円も不当ではないだろう。


ブガッティEB110とかジャガーXJR-15(お好みでジャグワとでもジャギュアとでも)とか、スーパーカーブーム以後の90年代生まれが展示されているのがちょっと目新しい。
 
栃木を後にして向かったのは足利駅。新しいデジカメ、オリンパスSH-25MRを購入したので、その特殊機能のひとつ「HDR逆光補正」を試すには足利駅舎がもってこいだと思ったのだ。これは、「1回の撮影で露出の異なる画像を複数枚、高速撮影し自動合成。部分ごとに最適な階調表現を行い1枚の写真を生成します。」という、「よくまぁそんなの思いついたなぁ」と感心したり、「でも私も画像加工ソフトで似たようなことやったな」と思い出したりする機能。

こちらが「プログラムオート」モード。

んで、こちらが「HDR逆光補正」での撮影。なんかこう、被写体全体に対してレフ板で光を回している感じ。不自然ではあるが、巧く使えば面白い写真が撮れそう(まぁ普通に撮った後で画像の明度をいじってもこんな感じになるけどね)。ただ、カメラをしっかりホールドしていないと、普通に撮れば普通に撮れる被写体でもバッチリ手ぶれが生じてしまうのも難。

足利駅からちょっと駆け足で往復。前に通りがかったとき、電車の窓から見えて気になっていたものへと向かった。

御嶽神社。築山のてっぺんに石碑が立っているのである。

山頂に建つのは「御嶽山坐王大権現」の碑。

拝殿の奥に本殿として築山があるのかそれとも山自体がご神体なのか。
 
そしてついでに宇都宮に里帰り……のついでに合タクビルを撮りに行く。去年の8月、下野新聞の1面に「旧合タクビル化粧直し 景観問題など解消へ」という記事があり、どんなものかと気になっていたのだが……。

いやね、建築ミーハーとしてね、リノベーションには断固反対だとは言いませんけどね、それにしたってこりゃ無いだろ!?

2006年11月に撮影した、元の姿。前面を広くガラス張りにしているのが特徴のビルなのに、その皮を残さずホネだけ再利用してどうするよ……。


10日日曜日には宇都宮駅東公園のEF57-7を撮影。屋根が架けられており保存状態は良好なのだが、柱が邪魔でものすごく撮りづらい。