ケロロ軍曹公式ガイドブック

オビに書かれた安彦良和のコメントが気になって購入。

「二大巨匠によるスペシャル解説収録!!」ということなのだが(もう1人は谷川流)……その解説の書き出しは「有名な『ケロロ軍曹』を、じつはまだ読んでなかったんだよ」っておいおい。
しかし流石の慧眼で、単行本二冊分読んだだけなのに、こんなことを言っています。

正直言って『オバQ』とか『ロボタン』とか『ドラえもん』が既にあるのに「平和な家庭に異形の変キャラが…」って設定に今更未来はあるのか?って思ってた。あったんだな、「その方向で」なら。

「その方向」がどの方向かというと、「ヲタクとアニメエイジのためのドラえもん」という方向。それはまぁ、市井のヲタクなら誰でも気付くことですが、オタク文化のごく初期において作り手側だったのに、一読して看破しちゃうんだと感心しました。
しかも、そのうえで「女の子がセクシーで可愛い」などと絵の上手さを評価し、「しずかちゃんもたしかにかわいいけれど、もっと肉感的にリアルであってほしい。藤子マンガはSFとして一流だけどビジュアル的にはもっと派手めで新しいミリタリズムの遊びもほしい」という今どきのニーズに合致した、と分析してしまう。さすが、漫画家として第一線に立ち続けているだけのことはあります。
「今更未来はあるのか?」に絡めた、『ろぼっ子ビートン』の思い出話も興味深く(その当時すでに「今更かヨ」と思っていて、ナンセンスギャグの方向に振ったとのこと)これだけでも買った甲斐がありました。
ところで安彦さん、「オタク」の表記を「ヲタク」で貫いているんですが、一体誰に吹き込まれたんだろう(笑)。
解説以外の見所は、カバー折り返しの著者プロフィールの写真に写っている1/144カトキ版ガンダム。基本はHGUCジム改、腰はパワードジムだろうけど、頭とひざはどうしているんだろう? ベースはもちろんあるにしても、流用ではなく自作?