毎日新聞・東北新幹線復旧記事のお粗末

なんかこれ、リテラシーとか読み比べとか、そういう次元ですらないんですが…。

東日本大震災:新幹線盛岡−那須塩原間、復旧に1カ月以上
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20110323k0000e040067000c.html
 東日本大震災の影響で運転を見合わせている東北新幹線の盛岡−那須塩原間について、JR東日本の宮下直人常務は23日、仙台市内で報道陣の取材に応じ、復旧には最低でも1カ月以上かかるとの見通しを示した。

 同区間は、高架橋のひびや送電線を支える電化柱が傾くなど損傷が激しく、修復作業を進めている。同社によると、東北新幹線全体での損傷は1100カ所に上る。うち高架橋は100カ所、電化柱は470カ所。また仙台支社管内での損傷が全体の約6割を占めている。現在の復旧率は約3割という。【浅妻博之】

毎日新聞 2011年3月23日 13時04分(最終更新 3月23日 17時59分)

東日本大震災東北新幹線、来月20日めど全線再開
http://mainichi.jp/photo/news/20110324k0000m040161000c.html
 JR東日本は23日、東日本大震災で寸断されている東北新幹線・東京−新青森間の全線運転を、来月20日前後をめどに再開する方針を固めた。被災地復興には早期の全線運転再開が必要と判断した。既に東京−那須塩原間と盛岡−新青森間は再開しており、来月上旬には那須塩原−福島間の運行を再開するとしている。地震の被害は仙台駅や盛岡駅付近、北上−一ノ関間で電柱の折損や架線の断線、高架橋柱の損傷など全体の約70%に当たる約800件が集中。04年10月に上越新幹線が脱線した新潟県中越地震の5.6倍に相当する約536キロに被害が及んでいたという。東北新幹線と接続する山形新幹線も来月上旬に福島−新庄間で運転を始める。【斎藤正利】

毎日新聞 2011年3月24日 2時34分(最終更新 3月24日 3時09分)

ソースは同じJR東日本、日も同じく23日。なのに前者は「盛岡−那須塩原間の(=全線の)復旧には最低でも1カ月以上かかる」、後者は「全線運転を、来月20日前後をめどに再開する」……なんだこれは?
新聞によって内容が違う、というなら毎度の話だが、これは両方とも毎日新聞記事(あいにく紙媒体では読んでいないが)。毎日新聞には記事内容の整合をはかるまとめ役がいないのだろうか? 記者個人の推測や社説などならまだしも、極めて基本的な情報ではないか。
しかも、記事掲載から既に1日経っているのに訂正などもみられない。関係者は誰もこの食い違いに気付いていないのか? 関係者の目は一体どれほど節穴なのか。
あまりのバカっぷりに、かえって興味を覚える。
んで、まぁリテラシー以前と言ったものの、どちらが正しいかは判断が付く。
一見してわかる、斎藤正利が書いてるんだから後の記事が間違いだ。
http://d.hatena.ne.jp/UnKnown/20041218
などと冗談はさておくが、後の記事のほうが疑わしい、というのは本当だ。
根拠のひとつはごく単純、「余所の新聞、通信社の記事も「復旧に1カ月以上」」と伝えているということ。
もうひとつは、ここからが本題だが、後の記事は、一見もっともらしいがソースを示していないということ。
前者は「JR東日本の宮下直人常務は……見通しを示した。」
後者は「JR東日本は……方針を固めた。」と、誰が言ったのか?
大方「自分だけがつかんでいる独自のニュースソース」を元に記事にしたのだろう。それが信頼できるか否かを判断する能力が、自分には欠けていると思わずに。
いや、憶測は止そう。いずれにせよ「一見すると「JR東日本の誰かが発表した」もしくは「JR東日本の誰かが記者に教えた」かのように読めても、よくよくみればその肝心のところがごまかされている場合がある」ということである。