トークイベント「コミックロリポップとその時代」#2

2月20日ネイキッドロフトで催されたトークイベント「-浦嶋嶺至プロデュース-『なつかしの美少女エロ漫画を語る会』第2夜〜コミックロリポップとその時代を語る〜」、レポート第2弾は編Kこと川瀬久樹氏のお話を中心にまとめてみる。前回(2月22日付)みたいに箇条書きでいいやと思っていたけど、書き出したら止まらなくなってしまった。80年代オタク文化の様々なシーンが絡んでくるのだ。
同じはてなブログでこのイベントをレポートされている方から重要な指摘もあって、そのあたりも交えつつ書いてみる。

【SFの輝き、アオイホノオの輝き】
川瀬氏がマンガ編集の業界を目指したきっかけは、大学生の時に出会ったDAICON3オープニングアニメだった、とのこと。ああそうか、「アオイホノオ」の時代なんだなと妙に腑に落ちた。

アオイホノオ 1 (ヤングサンデーコミックス)

アオイホノオ 1 (ヤングサンデーコミックス)

アオイホノオ 2 (少年サンデーコミックススペシャル)
アオイホノオ 3 (少年サンデーコミックススペシャル)
アオイホノオ (4) (少年サンデーコミックススペシャル)
アオイホノオ (5) (少年サンデーコミックススペシャル)
マチュアが作ったものが、商業作品に並ぶほどの光を放っていた時代。そして昨日までのアマチュアが、いきなり業界の第一線に立った時代。今だってそういう人はいるだろうけど、これはやはり80年代的な出来事と捉えるべきだろう。川瀬氏自身も、競馬雑誌のアルバイト募集を足がかりに出版業界にもぐり込み、さして間をおかず『コミックマルガリータ』を創刊させたのだから、いかにも80年代オタク文化的だといって良い(80年代前半にはまだ「オタク」という言葉は無かった気もするがそこは気にするな)。
川瀬氏自身は、『コミックロリポップ』を手がけるなかで読者との交流を積極的に行ったことについて、ひとつは『レモンピープル』編集部に見学に行ったときの経験を上げていた。『マルガリータ』を立ち上げようというとき、敵情視察のために単なる愛読者のふりをして『レモンピープル』編集部に見学に行ったところ、非常な歓待を受けたという。その経験があって、「読者は歓待するものだ」という意識が生まれたというのだ。しかし傍目には、そもそもご自身が「アマチュアからいきなり」というルートをたどってきたから、アマチュア(=読者)を大切にするという意識が強かったのではないかと思う。
また、もうひとつ注目したいのが「元々はSF好きだった」ということ。いやもう、そんなことを言っていたって「ああこの人もやっぱりSFなんだ」で聞き流してしまうところなのだが、そこに注目された方がいるのだ。

主催の浦嶋嶺至氏、後藤寿庵氏は某都内の私立大学のSF研究会出身らしく、改めてSF研究会からマンガ家からの流れは強いと思った。そういえば、シベールの吾妻ひでお氏、沖由佳雄氏などもSF色強い作品を作っていたようなので、そういう時代だったのだろうか。
 
(半疑(ハンギ)の日常的省察2月21日付「雑誌☆ロリポップ!」

私たちは(誰を含む複数形か)、こうした人々がSFの人だったことを当たり前のように受け止め、疑問を持たないどころか何のひっかかりも感じないが、いわれてみればそのとおり、「そもそもなんでSFなの?」。
それこそ「アオイホノオ」の5巻を読めばSF大会(というかDAICONIII)の熱気や、SFという土壌からアニメ・特撮が台頭してきた流れは見えてくるのだが、それにしてもなぜあの時代、SFには輝きがあったのだろう?

とりあえずこんなところで一区切り。
以後、【ブリッコは三大少年誌の夢を見る】【ロリタッチにタッチせず】【すみやかに投稿せよ】【ロリポップの時からキャンディタイムへ】と、あと4回くらい取り上げていく予定。
予定は未定。