トークイベント「コミックロリポップとその時代」#4

前回に引き続き、2月20日ネイキッドロフトで催されたトークイベント「-浦嶋嶺至プロデュース-『なつかしの美少女エロ漫画を語る会』第2夜〜コミックロリポップとその時代を語る〜」、レポート。
このイベント、主要スタッフである稀見理都氏もレポートされているので、当日の雰囲気とかはこちらをご参照ください。
「えろまんがけんきゅう(仮)2月24日付「『なつかしの美少女エロ漫画を語る会2』簡単レポート」」
【ロリタッチにタッチせず】
パクリが現れるのは一流の証明、ということで、人気雑誌となった『ロリポップ』にも恐ろしく志の低いライバルが登場した。名を『ロリタッチ』、版元は東京三世社。『嫌われ者の記』(asin:4480422358)の塩山芳明氏が関わった雑誌のひとつだ。
ロリポップ』に『ロリタッチ』、単に名前が似ているだけではない。A5判という判形、ロゴデザイン、表紙レイアウトまでそっくりに作っていた。
今回のトークイベントで知ったことなのだが、『ロリポップ』の表紙にはタイトルロゴに絡めて「POPちゃん」というマスコットキャラが描かれているのに対し、『ロリタッチ』もまた「TOUCHちゃん」というマスコットがいるのであった。なにもそんな細かいとこまで似せることはないだろうに……。ここまでくると『少年チンプ』『フィギュア主』みたいなパロディ同人誌並みである。
ぎっちょんところがこれは商業誌。そこには恐るべき罠が仕掛けられていたのであった。
当時、川瀬氏は誌上で『ロリタッチ』について、「単なる二番せんじならいいが、流通に罠をかけているのが許せない」と憤っていた。
見分けがつかないほどにソックリで、しかし発売日は10日だか半月だかズラしている。すると、本屋のおばちゃんとかは見分けがつかないので『ロリタッチ』の新しい号がくると、「ああ、新しいのがきたんだ」と『ロリポップ』を下げて『ロリタッチ』を並べる…という罠。「へー、そんな戦術もあるんだ」と私は憤るよりむしろ感心したものだ。
しかし、実際にそれが有効な戦術だったのか、そもそも本当にそういう狙いだったのか(単に姉妹誌であるかのように見せたかっただけではないか)と疑問があり、このイベントの機会に訊いてみたいと思っていたのだが……。
どうもその肝心の川瀬氏が『ロリタッチ』に触れたがらない。流通の罠の話が出てこないだけでなく、会場から「一度「そっくりさんへ」という意見広告のような記事を載せたことがありましたが」云々と質問があっても、「ありましたっけ?」と、トボケているのか本当に忘れたのか、かわしてしまう。
そこでスクリーンにくだんの記事、雨宮淳の描く女の子が「そっくりさん」に物申している1ページのイラストが映し出されたのだが、それでも話はふくらまない。イベント中、かなり多弁だった川瀬氏がこれといって話さないのだから、ここは触れたくないのだろうと、私は質問を控えたのだった。
いずれにせよ、『ロリタッチ』の登場に見られるように、『ロリポップ』は一時、美少女マンガ雑誌業界をリードする存在だった。
一流の美少女マンガ雑誌だった。
一流ではあったのだが、さて、それは川瀬氏が目指した「メジャーな雑誌の姿」とどの程度重なるものだったのだろう。
といったところで一区切り。