トークイベント「コミックロリポップとその時代」#1

5時半まで仕事してたのは本当なんだ、と誰に向かってでもなく言っておいて。過日、新宿職安通りのネイキッドロフトで催されたトークイベント「-浦嶋嶺至プロデュース-『なつかしの美少女エロ漫画を語る会』第2夜〜コミックロリポップとその時代を語る〜」を見てきた。
客席は立ち見も一人二人いたかもしれない程度の満席。プロデュース兼司会は夕張で雪かきして最近話題になった浦嶋嶺至氏。ステージには左から、浦嶋氏・川瀬久樹(編K)氏・千之ナイフ氏・毛羽毛現氏・後藤寿庵氏・伊藤まさや氏、そしてデータ担当のエロマンガ研究者・稀見理都氏。ちょっと遅れて猫井るとと氏が入り、代わって千之氏が下がる。かなり後になってからくれむつ・きゅーる氏が登場。
あ、誰が誰とかここでは説明しない。「コミックロリポップ」が如何な雑誌だったかも説明無しで。つか、私も創刊当初の何号かと『魔狩人』と『刑事達の挽歌』以外はよく知らないし。
あんまり細かくイベントの様子を書いてもしょーがないので、まずはとりあえず、各漫画家先生の発言で覚えているものを上げていく。録音してあるけどあえて記憶だけで。
千之ナイフ
・発言少なめ。創刊準備号掲載の作品について「女の子同士のバロムワン」。こういうマンガを載っているのが「ロリポップ」的と、本人か他の誰かが言っていたけど、LPとかもそんな感じだった気が。「ロリポップ」以前にも以後にも長いキャリアのある人だから、その観点から語って欲しかった。
毛羽毛現 氏
・主に「魔狩人」アニメ化の話題。当時はOVAバブル的な状況で、「魔狩人」と並行して「PONYMETAL U-GAIM」のアニメ化企画も進行していた。しかし「U-GAIM」をやるとなるとサンライズぴえろに話を通さなければならないため、そういう面倒の無いオリジナルの「魔狩人」が制作されるに至った。2作目の話もあったものの、そのうちバブルがはじけてお流れに。
・「魔狩人」は『マルガリータ』掲載分が初。当初は主人公はナラカのつもりだったが、途中で夜魔に。変更した理由は言及無し。
・『ロリポップ』創刊準備号掲載の短編「変身」は、自身は「救いがない」「なんでこんなの描いたんだろう」と気に入ってはいない様子。えー、名作なのにー。
・『魔狩人』『百物語 by YOKO』は死ぬまでには完結させる。
後藤寿庵
・編集K氏に声をかけられたときの話は「刑事達の挽歌」のあとがきにも書かれているので個人的にはあまり新鮮味は無し。「いやー、僕はギャグだけはよくわかんないんですよね。でもウチは最低でも半年は連載させますから」
・今でもギャグを描く意志はある。ただ、当時は勢いで描けたが今はどうか。時代も変わって、果たして受け入れられるかどうか…とあまり積極的でない。
・編集K氏からのオーダーは「メジャー志向で」だった。浦嶋氏はツッコミを入れたいムードだったが、編集K氏は「あのインパクトはメジャー志向なんです!」と主張。
・編集者としてはネームには手の入れようがなかった。(スクリーンに、「あたしは魔法のゲロ少女ベロベロぐりちゃん(はぁと)」のコマが映し出される)「これにどう手を入れろというんですか!?」と編集K氏。
・読者アンケートとは別に、読者が選ぶ「今月のひとコマ」というコーナーがあり、それを意識して描いていた。
・「実はまだ二階にいるのです」オチを使ったとき、元ネタのつげ義春「李さん一家」はまだ読んでなかった。あれは吾妻ひでおの影響。(いま「刑事達の挽歌」を開いたら、用語辞典に抜けぬけと「これは随分いろんな人がパロディにしているから、元ネタを知らない人も多いのではないだろうか」と書いている…)
・「ぱふ」の「(ぱ)の洋子ちゃん」を、藤島康介の後を継いで執筆……って、南田洋って藤島康介だったの!? あ、ウィキペにも書いてあるわ。ええと、藤島康介は「ぱふ」のインタビューで訪ねた縁で江川達也のアシスタントとなり……ってそれ「ロリポップ」と関係ないよ。
・そうそう、高槻ひばりはきたがわ翔の別名。
伊藤まさや 氏
・「美しい人間」の読みは「うつくしいひと」でなく「うつくしいにんげん」。
・「美しい人間」単行本は飛鳥新社から2分冊で刊行予定。進捗は95%、いまカバー絵を描いている。ただしまだ発売日は告知できない。
・当初は6回の短期連載の予定だった。
・「ロリポップ」休刊が決まったのは4号前。そのとき編K氏が思ったことのひとつは「とにかく「美しい人間」は完結させる」。そこで作者に発破をかけ、無事に完結に至った。
・とにかく遅筆で、かつ名古屋在住だったためいつもギリギリ。午後に印刷所に入れないと載らないという最終締切の、午前に新幹線便で原稿が届く。編集は駅までそれを引き取りに行き、印刷所に移動する車の中で写植を貼っていた。
・緻密な背景は何かを描き写しているわけではなく、資料を見て、それを消化した上で描いている。
・「フェイバレットは何ですか?」と訊かれ、「デヴィッド・リンチの『イレイザーヘッド』と…(観衆:ほう)、宮崎駿が参加していた『太陽の子ホルスの冒険』(観衆:おお)……、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』(観衆:爆笑)」
くれむつ・きゅーる 氏
・後から来たため、これという発言無し。私も作品を知らないのでここであえて書くことも無し。
・くれむつ氏到着以前に、読者投稿文化が話題にあがり、常連投稿者が「ファンロード」と重なっていたことに言及。それ以上は触れず(あえて避けた様子でもなく)、特にFRを意識していたわけではなさそう。くれむつ氏がそこに絡めればもうちょい話も膨らんだかも。
とりあえずこんなところで一区切り。