殲20からはMiG25の臭いがする

あえて言うほどのこっちゃないはずなんだけどね…。

中国ステルス、性能は「?」 軍事専門家ら指摘
産経新聞 1月31日(月)7時57分配信
(略)
さらにハーディ氏は「本誌記者の報告では、殲20はステルス性能を持つ次世代戦闘機の米試作機YF22、YF23、ロシア実験機1・44、スホイ47などから原型を取り入れたが、中国の戦闘機開発にかかわったロシア側関係者は『中国はエンジンやレーダー、複合材料、電子工学でロシアなど他の国に比べ後れをとっている』と証言している」と述べた。

軍事ジャーナリストで漢和情報センター上級アドバイザーの清谷信一氏は、ロシアもアフリカなどの兵器市場を中国に荒らされるのを恐れて中国に最新の軍事技術を出し渋るようになった現状を踏まえ、「親露政権が誕生したウクライナはロシアの、イスラエルは米国の顔色をうかがって中国には協力しにくい」と中国を取り巻く現状を説明。

そのうえで清谷氏は「中国は89年に運用が開始されたスホイ27のジェットエンジンのコピーにも失敗したのに、次世代ステルス機のエンジンをうまくつくる技術があるとは思えない。しかもステルス機を運用するには(航空支援などの)ネットワークの整備も必要だ」と分析、ステルス機の脅威を過剰に強調するのは誤りと指摘した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110131-00000104-san-int

少しでも軍用機に興味があれば1秒だって考えずに「ああ、ありゃ見かけだけだよ」とわかるのに、脅威を煽りたいタカ派が「ほらステルス機を作っちゃったぞ、こえーぞ中国」とことさらに強調している気がする。そして見かけ倒しと見抜けない人たちがまんまと乗せられている、と。そういう見方でいえば、「国力を誇示したい中国当局と反中共タカ派とが共謀して人々を騙している」ということであり、いや全く何が味方で何が敵やらだ。
「中国ステルス機「殲20」の運動性は侮れなくなる可能性も」という『SAPIO』の記事とか、マァヒドいもんだ。もう騙す気満々。F-22の性能紹介にボリュームを割き、あたかもそれに匹敵するものであるかのように印象を誘導している。オリジナリティを見せる全動垂尾についても「もしこれが実現できているとすれば、「殲20」の運動性は侮れないことになろう」と書いて、その後の「だが、実現できている可能性は極めて小さい」を伏せる。過去に実験機のウワサも無かったのに、いきなり全動垂尾がモノになってたら奇跡だよ。
そこで思い出すのが「世界唯一のマッハ3級戦闘機」MiG25だ。二次元インテークに高翼のクリップトデルタに双垂直尾翼と見かけは立派でいかにもF-15に比肩しそうだけど(ていうかF-15が真似したんだが)、実は闇雲に速いだけが取り柄で爆撃機の迎撃以外には使えない迎撃戦闘機。でもってアメリカがマッハ3級の爆撃機の開発を諦めたもんだから、全くの役立たずだった。にもかかわらず、ある時期まで間違いなく「ソ連脅威のメカニズム!」と喧伝されていたのだ。
後年には「電装品に真空管を使ってる」とか「最大出力を出すとノズルが溶ける」とか色々と笑い話も聞こえてきたけど、技術はともかく、「あくまで迎撃戦闘機だから運動性は高くない(だろう)」という評価は、早い時期に西側でも固まってたと思うんだが…。