テコロジートミカの教育的価値

6月発売予定だったのが発売直前に延期され、やきもきさせられた「テコロジートミカ」が発売された。

トミカ 40周年記念 テコロジートミカ 三菱 i-MiEV パトロールカー

トミカ 40周年記念 テコロジートミカ 三菱 i-MiEV パトロールカー


このパッケージを見ればどういうものか大体わかると思う。

念のため発光機構の説明のアップ。

ボディは通常のトミカと同一。ただし、当然ながらシャーシは裏面含めて完全に別物。
慣性で長く滑走する通常のトミカと違って発電する分の抵抗があるため、手で持って走らせる「手ころがし」遊びが基本となる。ただ、予想していたよりも走りは軽やかで、ある程度は滑走もしてくれる。
ゆーっくり走らせると全く発光しないが、一定以上になると速度にほぼ比例してLEDは明るさを増す。発電ユニットが優秀なのかそれともLEDの性能のおかげか、ガーーーーッと走らせると目に痛いほどの輝きになる。
おもちゃとして中々興味深いものなのだが、それ以上に気になったのがパッケージ裏面の「おうちのかたへ…」の文章だ。

テコロジートミカは新設計の超小型発電ユニットを内蔵し、車体を手ころがしで走らせると警告灯が光るトミカです。
内蔵の発電ユニットは左後輪と連動しており、車体を前後に動かすことで発電ユニットが駆動して発電します。発電した電気で警告灯を光らせるので、電池を全く必要としません。手ころがしで自らエネルギーを発生させる、そんな遊びを通じて「エネルギー」や「エコロジー」についてお子様と話し合ってみませんか?

いやエコロジー以前にさ、まず物理とかテクノロジーの話をしようよ…。
昔だったら「お子様への科学への興味を養います」で惹句になったのに、今どきはエコロジーなどという偽善…もとい社会意識を絡めないと、教育的価値としてアピールできないんだなぁと思ってしまった。
いやでもさぁ。「この発電ユニットはね、実はつくりはモーターと同じなんだ。手でうごかすと、モーターはぎゃくに電気をつくるんだよ。この仕組みは電車や電気自動車、ハイブリッドカーにも取り入れられている。『回生ブレーキ』といって、モーターを発電機として使うことによって、スピードを落としながら、電気も生み出すんだ」みたいな説明だって、この玩具でできそうなものではないか(え? ちょっと無理がある?)。エコロジーよりもまずテクノロジーへの関心を誘うのが自然と思える。
つーか、科学的に厳密にいうと上に引用した説明にはそもそも重大な誤りがある。

手ころがしで自らエネルギーを発生させる

違うだろ! 「手ころがしによる運動エネルギーを電気エネルギーに変換する」だ!! 細かいところは譲るとしても、それでも「手ころがしで自ら電気エネルギーを発生させる」でないと誤りだろう。こういうところを気にしないような玩具には、偽善以上の教育的価値を求めてはいかんのかねえ…。