最近買った漫画

エレメントハンター 2 (ジャンプコミックス)

エレメントハンター 2 (ジャンプコミックス)

地味ながら良作。がっつりとSFしてます。元になったアニメも良作なんですが、それをきちんと受け止めつつ、漫画版オリジナルのキャラクターと物語とを描ききったのは中島諭宇樹の力量でしょう。終盤、並行して描かれる2つの戦闘なんぞは「むしろこういうのをアニメのほうでやってよ!」と言いたくなるほどの盛り上がりをみせてくれます。アニメ版では重要な役目を担っていながらマンガ版本編には出番の無いハンナ様も、単行本描き足し分の4コマで作者相手に暴走しており、楽屋的というかオタク的な楽しさも十分以上。何かと制約が多いであろうコミカライズ作品を、作者は実に楽しげにこなしています。
あえて不満をいうなら、SFスピリッツに満ちた設定やムードと、少年マンガ的に正しい(ぶっちゃけていうと前時代的な)倫理観とが、少々噛み合っていない感じがするところでしょうか。アニメ版からのツッコミどころですが、11次元宇宙がなんつーかこう、心の強さがなんだかんだを決定してしまう「それなんてセフィーロ?」な世界になっている(苦笑)。だもんだからクライマックスも、言ってしまえば「破壊の欲望に取り付かれたラスボスを、「人を思いやる心」を武器にした少年たちが倒す」といういささか陳腐な構図になってしまってます。まぁ、そういう少年マンガ的な正しさが核にあることもこの作品の魅力である、と言っておくべきでしょうか。

保健室の死神 4 (ジャンプコミックス)

保健室の死神 4 (ジャンプコミックス)

前半は、前巻からのつづきで藤くん大フィーチャーのエピソード。後半はハデス先生と因縁のある新キャラが登場し、先生以外にも病魔を取り除く方法があると示されたり、先生の過去の一端が見えてきたりと、長期連載を見据えたあれこれが出てきます。一時に比べると打ち切り崖っぷち感は薄らいできました。カバー折り返しの作者コメントや、読者の手紙とかを見る感じでは女性読者の支持が強いのでしょうか。

AI:パト! (チャンピオンREDコミックス)

AI:パト! (チャンピオンREDコミックス)

「どみゅん、どみゅん、どみゅん」と、かつて週刊少年チャンピオンで連載していた『ロボこみ』が面白かった(しかしあっという間にマンネリに陥ってしまった)やぎさわ景一の最新刊。まったく知らない作品でしたが、1巻で終わってるなら手頃だろう、と試しに買ってみたらアタリでした。
パトカーが痛車で、絵に描かれたその婦人警官(パト子ちゃん)がAIというかそれなりの人格があるパートナーで、主人公のダメ警官とともに事件を解決したり巻き起こしたり…というコメディ。絵がパト子なのではなく、パトカーそれ自体がパト子であり、まぁ要するに『ナイトライダー』のナイト2000=KITT(Knight Industry Two Thousand)です。
パトカーのボディ表面は実はディスプレイとなっていて、パト子は単なる絵ではなくコロコロと豊かに表情を変える……なんてのは普通に考えつく設定ですが、パト子はそのうえなんと変型機能まで備えている。パトカーが何をどうやってか変型し、1分間の時間制限付で人間大の婦人警官に! 相当ムチャな設定ながら、これも上手く話の中に生かされています。1巻で終わってしまうのは少々もったいないくらいに思えました。
ねりわさびの『カーナビちゃんと僕』はこの夏あたり5が出るんかいなー。


はみどる! 1 (少年チャンピオン・コミックス)

はみどる! 1 (少年チャンピオン・コミックス)

↑さすがはみどる、amazonへのリンクからもはみ出してる。そのうち直ると思うが、もう発売日翌日なのに…。
[rakuten:book:13758702:detail]
仕事がないアイドル三人組が乳を出したり尻を出したりの他愛無いコメディ。絵が綺麗、という以外に取り立てて誉めるところもないのですが、3人のヒロインの配置が少々興味深くて単行本まで買ってしまいました。
公式の単行本紹介などでは一応「超アガリ症&元天才子役&貧乏チビっ娘」の3人で主役ということになってますが、実質上の主役は元天才子役で売れなくなってもプライドだけは高い、というかすみだといっていい。サブキャラとも絡めやすいようで、タカビーな性格をした同じ事務所のライバル的アイドル(ただしこちらはちゃんとした売れっ子)や、ストーカー的に慕ってくる後輩アイドル(こっちも売れっ子)も、とにかくこの娘に絡んで登場します。
かすみに次いで目立っているのがあかりで、この娘は見た目だけなら一線級のアイドルでしかも巨乳、しかし気弱で超アガリ症という性格が全てを台無しにしているという、露骨に男性読者に媚びた造形です。誤解を恐れずにいうならつまり秋山澪ですね。いや、どちらに対しても悪意は抜きで。
はっきり言うと、実はこの二人がいればコメディは成立する。「押しが強くてプライドが高くて成功経験もあるけど胸と人気がない」かすみと「気が弱くてアガリ症で日の目を見ないけど秘めた実力と胸がある」あかりとは好対照、凸凹コンビ(表現が古いです)でいくらでも話を転がせるでしょう。
にもかかわらず、3人目がいるのですよ。 「超アガリ症&天才子役&貧乏チビっ娘」のうちの「貧乏チビっ娘」、すずのが。
このキャラ付けからして少々おかしく、貧乏設定は台詞の端々に出てくる程度で、エピソードを一本作り上げる力がない。貧乏といっても守銭奴的ではなく、アイドル仕事の傍らでしているはずの他のバイトの描写もない(設定はある)。また、アガリ症や無駄なプライドは性格の問題だからいずれ何とかできそうなのに対して、モデル志望で身長150cmというのは致命的な欠点でしょう。克服しようがない欠点だから劇中でもほとんど取り上げられず、故にほかの二人と比べてすずのはどうにもキャラが立ってこない。連載が進むと、「実は一番まともな感覚の持ち主」という立ち位置に収まってくるのですが、それはそれでやっぱり目立たない。
4人組(文革の話ではない)主人公で4人目が目立たない、というのはピンク髪眼鏡とかたくあんとか色々あるわけですが、3人組でひとり極端に影が薄いというのは珍しいのではないでしょうか。
長々と駄文を書き連ねてしまいましたが、結論はつまり「そんなすずのが一番可愛い」ということです。「頼れる姉貴ポジション」でステージに立つファッションショーの回は1巻には収録されていないので、2巻も買わざるを得ないなぁ。