名古屋の旅#3/「音速滑走体」模型

今回の旅の、そもそもの目的地は、実は名城大学。しかしそれはただ行くだけで済む程度の用だったため、ついでに名古屋のあっちこっちを巡ったのだった。

用は用として、その名城大学に展示してあった「音速滑走体」の模型。

音速滑走体モデル OST-78A
 これは、小沢久之亟先生が本学に在任中御研究された
実験用音速滑走体の一つをモデル化したもので、未来の
乗りもの、夢の乗りもの として世界中に紹介され話題
をよんだものである。
 
完成後の仕様
全長 230m 発動機JT9D-7W4基
胴体径 6m 出発時推力21,320×4=85,280kg
乗客数 1000名
速度 1000km/h 全重量 400ton

率直に言って素人目にはツッコミどころしかないのだが、当時は実用化も視野に入れて真面目に研究していたのだろうな……。
んー。
んんー。
でも、それにしてもこの模型は違うんじゃないのかなー? 

――高校を卒業して機械工学科を選んだ理由はなんですか。

 機械もの、いわゆる、モノづくりが好きだったからです。この地方は自動車関係の企業が多く、当時も就職に有利な機械系は人気でした。理工学部を卒業して岐阜大学の大学院に進み、精密機械を専攻しました。修了後は名城大学に助手として戻りましたが、担当させられたのが当時、乗客1000人を乗せ、東京〜大阪間を時速2500キロ(マッハ1.98)、わずか14分で結ぼうという「音速滑走体」の実用化を目指していた小沢久之亟(おざわきゅうのじょう)教授のもとでの走行実験でした。

――「音速滑走体」の実現の可能性はあったのですか。

昭和34年(1959)から行われていた走行実験に加わり、小沢先生の指揮で鍋田干拓地(愛知県弥富市)や農学部の鷹来キャンパス(同県春日井市)で実験に当たりました。鍋田干拓地では1600mのコースで、報道陣も見守る中での実験が続きました。10年かけての実験では、火薬力で発射した滑走体は170mで真空パイプに入り、563mで時速2535キロに達するまでになりました。しかし、衝撃波、重力、パイプ壁への衝突を回避する技術など課題は多く、小沢先生が亡くなられ実験も終わりました。騒音、公害のない「弾丸列車」に憧れて入学してくる学生もたくさんいました。私は今でも、原理的には不可能ではないと思っています。
 
名城大学公式サイト「育て達人」第70回、奥出 宗重 教授)
http://www.meijo-u.ac.jp/sp/sodate/detail.html?id=788LC5

真空パイプ内を、無公害というから慣性で走らせるのが肝なのに、何故に翼とジェットエンジンが付いているんだ?

さびが浮いた「滑走体」は実験室の隅にあった。細長い砲弾のような外見だ。「この中にカメやカエルを乗せて、時速2500キロで走らせたんです」。当時、実験を手伝った奥出宗重教授(69)=流体力学=が振り返る。

朝日新聞「お宝発見」2011年1月28日付 「東京―大阪16分の「夢」の名残・超音速滑走体 名城大」)
http://www.asahi.com/edu/university/otakara/TKY201101270134.html

実際の実験に使用した滑走体は、やはりというかシンプルな砲弾形。「実用型」となれば火薬で発射するわけにはいかないからソレっぽくエンジンなどをあしらったんだろうとは思う。リニアモーターとなら相性がいいかも?

それと、あまり細かいことまで調べる気はないが実験のほう、「火薬力で発射した」のなら初速が最速ではなかろうか? 「563mで時速2535キロに達するまでになりました」というのがイマイチわからない。

ちなみにこれ、『学研の図鑑 機関車・電車』でも「ロケット列車」として紹介されている。私の手元には昭和48年(1973年)の初版と昭和52年(1977年)改定版第23刷(昭和58・1983年)の2冊があるが、両方に載っていた。

現在研究中の新しい鉄道を紹介する記事の一部、上から4番目。

ロケット列車
真空のチューブ内にロケットを走らせるというしくみ。
小沢久之丞先生の研究。実験で時速2500kmを記録。

「学研の図鑑」機関車・電車

「学研の図鑑」機関車・電車

マケプレだと状態が可でも3000円オーバーが相場になっているが、とにかくたくさん出た本だから何刷かにこだわらなければ500円くらいで買えると思う。



(追加)
真空パイプ内を走るという着想について「リニアモーターとなら相性がいいかも?」などと書いたら、その日のニュースでこれである。

中国の科学者考案、「時速2900km」のリニア
・・・「中国高速鉄道」の未来か=中国メディア

 
中国メディアのcnBetaは11日、中国の科学者が考案した「環状の空間を真空に近い状態にする技術」を使えば、未来のリニアモーターカーは時速2897キロメートル(km)までスピードを上げることができる可能性があると報じた。
(略)
一般的なリニアモーターカーは高速で走行する際に空気から抗力を受けるため、空気の存在が速度を上げるうえで抵抗となる。記事によると、時速400キロメートルで走行するリニアモーターカーの場合、動力の83%が空気抵抗によって失われており、真空に近い状態にした環状の空間内をリニアモーターカーが走行することで理論上は空気抵抗がほぼなくなり、高速での走行が可能になるという。
 
2014-05-14付サーチナ記事
http://biz.searchina.net/id/1532220