蝉に刺された

ふらっと出かけたら道端に死にかけの蝉が転がっていたので拾ってみた。

この蝉がマァ、私の指にしがみつくだけでなく、口吻部を突き刺しやがりました。仮に血が吸えたとて、樹液が主食の蝉には何の滋養にもならないだろうに。残りわずかな命にしがみつく、まさに必死の姿に五分の魂の気高さを感じた。……というのはさっき即興で考えた(「明日は昨日の為にある」8月13日付「松月院と赤塚の滝と蝉」)。

ともかくも、蝉に刺される、なんて経験はめったにできるものでなし、これはこれで面白い出来事だった。

さて、その刺されたところだが、後になって腫れてかゆみを生じた。おかしいな、蚊が刺すとかゆみを生じるのは、蚊の唾液中に含まれる、血液の凝固を妨げる成分の副作用ではなかったか。血を吸わないセミの口吻部にその成分があるはずはないのに、どうしてかゆくなるのだろう。

うーむ、蝉の唾液中には樹液を溶かす(吸引しやすいようにサラサラにする)成分か何かがあって、それが蚊の唾液と同様にかゆみをもたらすとか、そういうことなんだろうか。