『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』

観てきた。場所はさいたま新都心、公開2日目の日曜日、朝一番の回(9時45分)とあってほぼ満員の盛況でした。以下、基本微バレで感想。
 
仮面ライダーディケイド完結編』
「ディケイドに物語はありません」
うわっ言っちゃったよこの人。ホントにこういう台詞があるんだ、これが。それも単なる一発ネタでなく、作品のいわば自己言及として話の核になっているところが、なんというか実に「ディケイド」だった。二重三重の意味で物語が無いもんなあ(劇中設定として物語が無い=平成ライダー共演が主眼なのでオリジナルの物語が無い、そしてマトモなストーリーが無い)。ユウスケが五代雄介の台詞を言い出したときには「パクリだー!!」とつい思ってしまったし。
 
観る前にあらかじめ「ストーリーの整合性とかテーマとかを考えたらたぶんダメ」と割り切っていたが、そこは全く予想どおり。TV版で未解決だった要素は色々と未解決(というかいつの間にか解決したことになってしまう)だし、夏映画はつながっていない。その一方、唐突に登場して、前々からツカサに付きまとっていることになってる電波人間が実は…とか、何もそんなに無理に新キャラ詰め込むこと無いのにと思うことしきり。
 
ストーリーは出鱈目ですが、ブルーバック合成でふわふわでなくCG合成でギューーーンと空を飛ぶスカイライダーとか、荒野にぬっと立つだけでなく立体パーキングに殴りかかるJとか、ライダーが戦いまくる映画としては冒頭から見せ場続き。ともかくも退屈はしません。クウガアルティメットフォームが殴る蹴るの格闘戦を見せるのは違和感バリバリだけど(赤目でなく黒目、すなわち金色の…じゃなくて「究極の闇」なのは意味があるので可)。
 
役者に関しては例によって、子役>声優>俳優の順でギャラが安かったりスケジュールを押さえやすかったりするんだろうなーとまたも思い知らされて複雑な気分。ディケイド版の各ライダーの変身前の人なんて、こう言っちゃなんだが他に何の仕事があるのかよくわかんない人ばっかりなのに(いちおう出てくる)。
 
ロケ地、いい感じの廃線跡はスタッフロールで見る限りはわたらせ渓谷鉄道(旧・国鉄足尾線)しか該当しないんだけど、あんなところあったかなぁ?
 
仮面ライダーW ビギンズナイト』
ディケイドに対してこちらは脚本がお行儀良過ぎで、完成されているんだけどおとなしく、いつものTV版とあまり印象が変わらない。劇場版というよりTVスペシャル版かVシネ版のような感じだった。隣のあんちゃんは途中で寝てましたよ。
 
白文字で一部バレ↓
おやっさんの生死は結局、「状況的に考えて生きてはいないし、翔太郎・フィリップは死んだと確信しているけど、死体は見つかっていない」という、後々本人の再登場も可能な扱い。フィリップの出生に関しても、TV版で既に明かされている以上の話は無し。誰がフィリップ救出を依頼したかも不明。ダブルドライバー及びWの6つのガイアメモリは誰がいつ作ったのかも不明のまま。新事実といえば、ガイアメモリの製造にフィリップが深く関わっていることが明かされたくらいか。それに付随して、ダブルドライバーと6つのメモリは、フィリップの知らないところで(「組織」以外が)開発・製造したことも明示。フィリップの名の由来も明かされましたが、これは予想どおりというか言わずもがなだし…。結構な名場面になってるんだけどね。
↑バレここまで
 
つまり、映画を観ないと謎のまま、という要素は無いも同然で、ある意味一般視聴者への配慮が行き届いた内容といえます。逆にいうと、そこらへんを期待してわざわざ映画館に足を運んだ人にはひどい肩すかしですな。いやまったく、何がビギンズナイトだ、おい。
 
仮面ライダースカルはなぁ…。おやっさんには登場人物としての魅力があるんだけど、仮面ライダーとしての見せ場は少なめ。ファングジョーカーにしても、新フォームのカッコよさは十分なんだけど、無理矢理出番を作った感じでした。
 
吉川晃司はなかなかの好演でしたが、『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』の前座だった元水球選手(そういうプロフィールがデビュー当時のアピールポイントだったのよ)が、元アイドルとしてあたかも大物であるかのように『仮面ライダー』にゲスト出演とは、出世したのかそうでもないのか微妙なところ。そういや『うる星やつら オンリーユー』の併映は『ションベンライダー』と言いました。
 
閑話休題、ディケイドとWが共演するクライマックスはお祭り的なサービスパートかと思いきや、ちょちょいと良い感じの結末になっていて、うまいことまとめたなぁと感心。米村、三条のどちらの脚本なのか、それとも話作り含めてプロデューサーのコントロール下にあったのか。
 
まぁそんなこんなで、「事前にある程度割り切って、映画を見に行くのではなくイベントに行くのだと思っていれば、損をした気にはならない程度」というのが率直な評価です。同じ1800円で「沈まぬ太陽」だって観られるんだよな、とか考えてはダメだ(観る気満々だったけどどうしても時間が合わなかった…レイトショーが無いとちょっとね)。来年1月末からのシンケンvsゴーオンはどうすべぇ。