秋の新番組

仮面ライダーW 既に新番組という感じでは無いけど一応。放映開始前、探偵という基本設定を知ったときには、どうせまた『探偵物語』の出来の悪いパロディになるんだろうな、とあまり期待していなかったし(こういう番組こそ井上にあてがって『シャンゼリオン』の焼き直しにしたほうがまだ面白いんじゃないか? とも)、実際に主人公の格好もそういう路線だったが、これが十分以上に面白くてちょっと得した気分。
翔太郎のハードボイルド気取りも、フィリップの図書館イメージ内での検索も、手垢にまみれた設定・描写だし、事件発生〜依頼・調査及び任務遂行〜解決の基本構成もかなり粗いんだけど、なんかこう、うまいことまとまっているんだよね。考えてみれば『ガイキングLOD』も『ゲゲゲの鬼太郎(5th)』もそんな感じか。
『ディケイド』はもういらないけど、『W』のためにまた映画館に行ってもいいかとさえ思う。

『あにゃまる探偵キルミンずぅ 河森正治が「マクロスF」の後で何をやらかすかという期待で視聴。エンディングにしのばせた微妙な毒とか『+』の追加映像とか『生物逆進化論序説』とかいうキータームを見るに、キッズアニメに見せかけて『地球少女アルジュナ』(未見だが)路線を敷こうとしているようにも見える。
中毒性のあるオープニング、可愛いキャラクターに安定した作画(被りものの表情の変化が細かくて可愛いよね)、無難な基本設定でまずは視聴を継続する気になる。ただ、脚本のクオリティは今一歩。展開の遅さは「丁寧に描写を重ねている」というより単にテンポが悪いだけだし、シーンの順序や切り替わりも色々と間違っている。シーンが変わって突然出てきた「先輩」と呼ばれる女性が亀を相手に思わせぶりなことをひとしきり語った後で、この人物がヒロインたちの母親だとわかるとか(第1話の前半でやるには、これは順序が逆)、主人公が1on1の約束をスッぽかしていることを描写した後で事件が起こるとか(これも順序が逆)。このあたりが今後改善されるとは思わないが(キッズアニメとしては問題だがアニメファン向けとしては問われる質でないため、スタッフは難点だと思ってないと思う)、もうちょっと「キッズアニメのフリ」を頑張ってほしいところ。

キディ・ガーランド 「ブルマ脱げ」「いやだ」「脱げ」「いやだ」「脱げ」「いやだ」で延々と争うのはジョン・カーペンターの傑作『ゼイリブ』に捧げるオマージュなのだろうか。
閑話休題、『キディ・グレイド』が割と好きなのは、「超能力者コンビが宇宙船を駆り、毎回異なる特殊な環境の惑星を舞台にして、犯罪者たちと対決する」という70〜80年代レトロなSFノリがかえって新鮮だったからで、『ガーランド』にもそういう要素を期待したのだが…。おバカヒロインの人物造形とかメイド服とか乳揺れとか「パンツはいてない」とか、レトロに満たない「今どき」感バリバリで正直かなり痛々しい。
導入部の「宇宙存亡をかけた壮大なSFロマン」なノリも、またちょっと違うんだよなー。『グレイド』もシリーズ終盤は確かにあんな調子だったけど。そうそう、『グレイド』ラスト近くで出てきたナントカが、「アニメ史上最大のロボット」の栄冠を『トランスフォーマー THE MOVIE』のユニクロンから奪ったんだよな。その点でも記憶に止めるべき作品である(って名前忘れてるし)。