『神はサイコロを振らない』1巻

「あの方が厳しいのですか?」
「うん」
「ネットでの素人のマンガ批評より厳しいですか?」
「五分五分」
「じゃあ作者が泣いちゃうくらいですね」
……なんて会話があって冷や冷やする、竹内元紀の新作。
…………ちょっと自分のエントリを振り返ってみるか……。



うむ、竹内元紀が泣くようなことは書いてない! 書いてないぞ私は!! セーフ、セーフ!! 
さて、前作『シスター・ルカは祈らないで!!』について私は「なんというか、危うい」「安定感、それこそが竹内元紀に欠けているものだ」とか書いてたわけですが(2008年3月28日付)、アヴァンギャルドの域に達しかねなかった『ルカ』から一転、『神はサイコロを振らない』は良くも悪くも思いっ切りベタにきました。
まず登場人物たちの目的が明確。7つ集めればどんな願い事も叶うというドラゴンボー…もとい、6つ集めればどんな願いでも叶うというキャラメルダイスの探索&争奪戦という物語の軸が設けられています。基本的にそれを外さないので「この話は一体どこに行くんだろう…」という不安感はなくなりました。
さらに、洞窟に行けば温泉につかるわ、南島に行けば水着になるわ、カラーページ付の回(単行本ではモノクロ)はまた温泉回だわでいわゆる読者サービスも充実。こういうベタなマンガも描けるんだなぁと妙な感心の仕方をしてしまいます。
まぁナニはともあれ、中学生センスの下ネタを連発しながら(ただし『ルカ』までと比べて分量は抑えめ)、バカな登場人物たちが底抜けにバカを繰り広げるという竹内マンガの基本は変わっていないので、今後どうなるのか色々と楽しみ。