仕切るの?春日部さん (2) (カドカワコミックスAエース)
- 作者: 竹内元紀
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/05/24
- メディア: コミック
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ならば、この『仕切るの? 春日部さん』から伝わってくる作者・竹内元紀の妄想力は、“超中学生級”と呼ぶが相応しいだろう。帯に引用された劇中の台詞、「つつがなく」の用例からして、「女の子にはつつがない。男の子にはつつがある。」だ。全編がとにかくアホらしい下ネタばかり。女はカタいモノが好き、服の上に乳首ポッチ、右のオッパイを揉む方が右手でその逆が左、愛・恥丘博 液スポ2005……最初の数頁からこんな調子だから書き写すだけで気恥ずかしくなってくる。
実に中学生的センスの下ネタばかりなのだが、ただくだらないだけかというと、そうでもないのがマンガの面白いところ。底抜けの総ボケ状態によって、実にとめどなく下ネタがあふれてくるため(今読み返したら、ほぼ1頁1つの割合で下ネタが放り込まれていた)、読み進めるうちに軽いトリップ感さえ味わうことになり、いつしか作品世界へ引き込まれてしまうのである。
ただ、前作『Dr.リアンが診てあげる』(ISBN:4047134953)に比べると、いささかパワーダウンしたという印象は否めない。原因は明白で、ロリキャラが春日部さんには登場しないため、二次性徴前しか愛せない読者には実にもの足りないのだ! とまずはひとしきりボケておいて、ええと、『リアン』では明確であった「登場人物相互の立ち位置の違い」が『春日部さん』では不明確で、作品全体を支える骨格が弱くなっているからだ。
『リアン』には、「岡崎は直人に惚れている」「リアンはいかにも子供的な無知ゆえのボケをみせる」「もみじは忍者なのでバカだけど小器用」といった役割分担があった。対して『春日部さん』は、「春日部会長は徹に惚れている」設定は半ば忘れられているし、モロヤマがロボットだという設定も有効に使われているとは言い難い。こうした差があるため、やっていることの実質は大して変わらないのに、『春日部さん』は展開が平板という印象を受けるのだ。
もっとも、作者はあえてレギュラー同士で話が展開することを避けて、話のパターンを拡散させる方向を志向しているふうにも見える。特に、この2巻終盤は新キャラが連続投入されており、新たなパターンを模索しているのが明らかだ。続巻も期待して待ちたい。