アオイホノオ

アオイホノオ 2 (少年サンデーコミックススペシャル)

アオイホノオ 2 (少年サンデーコミックススペシャル)

違う! 喜幸だ!! 当時のトミノ監督は由悠季ではなく喜幸だ!!(p54) などという基本ツッコミはさておいて。

1巻(asin:4091512682)を買ったのがたまたま小林まことの「青春少年マガジン」(asin:4063756181)と同時だったため、ひときわおもしろく読めたのが「アオイホノオ」。

時は1980年代初頭――。漫画界は新しい波を迎えようとしていた。ちょい数年前まで漫画業界は――出版社を問わず、主力連載を大作家に、すべて押さえられていた――。(中略)
それが…80年代を迎えて、絵のド下手な新人が堂々と人気連載を取る時代が始まった!
(アオイホノオ1巻p46-47)

と、これが「アオイホノオ」の時代背景。ここで言われているような新人、絵がド下手か否かはさておき、70年代の終わりに先達たちを押さえて人気連載となった新人のひとりが小林まことであり、

少年マガジンは猛烈なスピードで若返った。新人が成功する。その刺激をうけてまた新人が現れる。この好循環が次なる80年代の漫画雑誌大創刊ラッシュにつながる。
(青春少年マガジンp127)

マガジンではないけれど、小林まこと世代の成功に刺激をうけて現れた80年代の新人のひとりが島本和彦小林まことは人気漫画家の視点から、まだ読者だった島本和彦は漫画家を目指すダメ大学生の視点から、80年代初頭の漫画界を振り返っているわけですよ。
同じ時代、同じ業界を、異なる2つの視点から描いている。島本和彦のグダグダっぷりと小林まことの苛烈さがまた対照的で、この2作品は併読を強く推奨します。

しかし、「アオイホノオ」2巻には巻末の広告スペースに「ゲッサン」(月刊少年サンデー)の創刊告知が載っているんですが、その看板作家は1巻で主人公が見上げていたあだち充、そしてそれと並んで、あずまきよひこなんだよね。後生おそるべし、というべきか漫画家ってキャリアではなく実力と人気の世界なんだなぁとつくづく思います。