1/4「宣伝には騙されない!」という人をダマす法

インターネットの発達によってCtoC(消費者対消費者)型の情報提供(情報交換)が活発になった。他方、ネットはまた、一般市民(=カスタマー)たちの「俺たちは今まで大マスコミに、広告代理店に、大企業に騙されていたんだ!」という陰謀論的なアレルギー反応をも招いた。これらが両輪となり、旧来のBtoC(企業対消費者)型の広告・宣伝は相対的に力を落としている。
しかし、その状況をニヒルに観察すれば、人々のリテラシーレベルが向上したわけでは決してない。単に「旧来の大企業やメディアは俺たちを騙している、それに気付いた俺ってカッコイイ」というだけだ。
だから、マクドナルドが新製品の話題づくりにサクラを雇った、たかがその程度の騙しに「大企業の悪事を許すな!」「マスコミは安易に取り上げるな!」と青筋を立てる一方、同じような「騙し」がネット上に仕掛けられていても、それに気付くことはできない。
逆からみれば、そうした騙し〜錯誤をネット上に仕掛けることができれば、ネットを利用しての広告・宣伝ビジネスは、今後もビジネスとして成立する、と言える。

『TVの普及による社会・文化の変化が「一億総白痴化」ならば、それに対してインターネットが進めているのは「一億総小賢化(こざかしか)」』というキーワードだ。

「白痴」と貶められるような、ただの単なる受け手ではなく、それなりの志向性をもって情報を捜し求め、選択する。そして、ときには掲示板やホームページによって自らを発信者とする。そこでユーザーは自らの「賢さ」を知り、従来のメディアでは得られなかった、高い自尊心を感じることができる。たとえそれらが、従来の社会での指標では「賢い」とは言い難い選択や発言であってもだ。これがすなわち小賢化である。

これももう4年前のエントリだ(2005年3月8日付「 一億総○○化」)。このときコメント欄に「興味は詰まるところ「そういう社会で飯の種になるものは何か?」ですし」と私は書いていたが、世の中にはマァ目端の利く人間がいるもので、既に飯の種にしている人がいるのである。
先日、諸事情あって会社説明会に参加した、某社の急成長部門のことだ。
(つづく)