2/4「やらせブログとは違います」

(承前)
インターネットビジネスの世界では、こっそり五指に入る存在だというその会社。昨年末からの新規事業で手がけているサイトの基本は、ごく大ざっぱには、アフィリエイトの発展形とイメージすればいい。
スポンサーの要望に応じて、あるサイトを設ける。そうだな、例えば『無限の組み替え遊び! 有形ブロック玩具の楽しみ』てなタイトルのサイトでも想定しようか。いかにも素人が作ったふうの、洗練されていないつくりを基本とする。そのサイトは「有形ブロックって何?」とかいう解説から始まり、「どう組み合わせるとカッコよくまとまる?」とか「自立させるにはここでバランスを取れ!」とかいうノウハウ集、さらに各社の製品比較一覧(ムゲンバインとアッセンブルボーグと…ううむレゴにダイヤブロックか?)とかも載せて、ただ観るだけでも読者にとって面白く、有益なサイトに仕上げる。
そして一方、読者の購買意欲を刺激するようなサイトにする。ただし、スポンサーが海洋堂だったら、読者がバンダイムゲンバインを選んでしまうようなサイトにしてはいけない。アッセンブルボーグを買わせるために存在するサイトなのだ。他社製品ではなく、スポンサーの製品を志向するように、ひそかにサイトの内容を調整する。比較表も実はそのための仕掛けの一部である。あるいは目立ちすぎないところに、通販サイトへのリンクを貼っておく。
つまり、一見したところでは中立の読み物サイトなのだが、その実は巧まれた宣伝、という仕掛けだ。一時非難にさらされた「やらせブログ」とは違うのは、一般消費者を装ってはいないこと。また、直接的に特定の製品を薦めるわけではないから、やらせのそしりは免れるという逃げ道も用意してある。なお、一応断っておくが実際に手がけているものが玩具サイトではあるはずもなく、メインは健康食品や化粧品である。
そのうえ賢明というか狡猾なのは、「ウェブ検索でそのサイトが上位に表示されること」を重視しつつ、アドワーズは選択肢から排除していることだ。「既に世の人々にはアドワーズ(スポンサーリンク)が広告であると知れ渡っている」そして「広告は敬遠される」、この先鋭的ながらも正しい認識に立って、一般検索の結果で上位に表示されることを重要な戦略としている。
「なるほど、世の中にはアタマのいい人がいるもんだなぁ」と思った。
私がいま勤めている会社の社長などは、何とまぁ未だにセカンドライフ(「定年後の生活」ではないほうのセカンドライフね。みんな忘れてるだろうけど)に島を抱えていて、「昨年の12月に開催したライブはのべ60人の観客を集めた」との話を果報として社員に伝えるくらいで……。あ、いや、居るのよ現実に。こういう人。ブログとか書いたり見たりしてるみなさんには信じられないだろうけど、こういう何も見えていない人が、会社を経営してるの。ふぅ。
……話がそれた。まぁともかく、「一億総小賢化」的状況を踏まえてのネット広告ビジネスを成功させてる人が既にいる、ということである。
(つづく)