3/4雑誌の過ちをウェブで繰り返すな

(承前)
だが、私にはそれはアンフェアなビジネスだ。非難はしないが、どんな形であれ与することはできない。これはかつて雑誌やTVが通ってきた道ではないか。
わかりやすく、『ファミ通』のクロスレビューやランキングの過去を遡ろうか。昔、人々がまだ雑誌を信じていた(あるいは雑誌がその信に足る存在だった)時代には、【1】ランキングは正しく調査されたデータだったし、クロスレビューは各ライターがその名を背負って書くものだった。だがいつの頃からか(あるいは初めからかもしれないが)【2】スポンサーの意向というバイアスがかかるようになり、【3】ついにはその事実が暴かれる。そして『ファミ通』はその信頼を落とした。
とはいえ、「衝撃の事実が暴露された!」の頃を過ぎると、【4】「スポンサーの意向というバイアスがかかっている」ことが読者らにも共通了解事項となり、それを前提として『ファミ通』と付き合うようになる。だから今、『ファミ通』の不公正は何ともいわれない。無論、これはこのブログに来るような人になじみ深い例をあげただけであり、事は『ファミ通』に限ったことではない(つーか普通はマガジンハウス系を例にあげます)。
また、データ捏造に至る経緯が不明のため、ここではあえてスポンサーによるバイアスとは言わないが、TVにおいては『発掘!あるある大事典』という例もある。
私は、ネット媒体に同じ道をたどって欲しくないのだ。広告を企図としたものと明示せずに(また暗示的にも伝えずに)、スポンサーの金で一般サイトっぽいものを作る。これを始めてしまったら、いずれまた信頼の失墜と、さらにその先の「ま、そういうものだよね」のニヒリズムの蔓延とが、また繰り返されるではないか。それは楽しいことではない。
私にはその動向を止めることはできない。ただ一方、会社の実名を出したりとか、情報サイトを装った実質宣伝サイトの実例を挙げたりリンクを貼ったりもしない。そこらへんでアクセスも稼げそうな気もするが、いやまぁそれもそれでアンフェアに思えるから。
ただ、それでもやはり書かずにはいられないのだ。
(まだつづく)