ゾイドジェネシス#48「神の雷」感想

機械兵の真実を知ったディガルド討伐軍は、ボラー司令やザイリンらの協力を得てディガルド軍全軍に対ジーンの共闘を呼びかける。通信は成功したものの、ラ・カンはジーンが駆るバイオティラノの決戦兵器「神の雷」の光の中に消えた……というお話。
展開それ自体は予想の範疇に収まるものだが、「どうやって討伐軍が機械兵のことを知るのか?>捕虜のボラー司令に宛てたザイリンの書状」「どうやってディガルド軍全軍にそれを伝えるのか?>ソラシティの高度な技術で通信機を製作」「どうしてザイリンは討伐軍との共闘を決意するのか?>ジーンは新型通信機に予め通信封鎖機能を仕掛けていたため、他の基地に反ジーンを呼びかけるには討伐軍の通信機が必要だった」「ザイリンとルージは和解できるのか?>2話の出会いで渡した本を会話のとっかかりにした」「そんな通信にディガルド軍は耳を傾けるのか?>ボラー先生の教え子はあちこちにいる」……とまぁ、様々な疑問に対する答として、大小様々な既出の設定を最大限に活用していて見事なものだった。ハックやガラガは知らない「バーリア」をミィは知っている、というのも細かいな。
この日は「おねがいマイメロディ」のほうも同じような濃厚さがあって、どちらも一年近く付き合ってきた甲斐があった。

ディガルド軍と手を組むべきとのルージの演説は、過剰に「いい子ちゃん」な発言でちょっと醒める部分もあったが、「黙ってジーンに従うわけがありません」に対してミィが冷たく「わかんないわよ、そんなこと」と言い放ったり、ガボールとミィが遅れて手を挙げたり、ガラガが条件付で賛成だったり……というあたりの細かなキャラクターのすくい上げは相変わらず巧い。

そんななかでやや疑問だったのはザイリン。「何も知らなかったとはいえ私はジーンの手先となり…」とか言ってたが、ジーンが昔「神になる」言ったときに「面白い」と答えてたでしょアンタ(苦笑)。機械兵やヴォルケーノの件をさておけば、騙されてジーンに協力していたわけではないでしょ。まぁ「形見」と言いつつ第2話の本の下巻を渡して、「せめてもの罪滅ぼしで刺し違える」という決意の見事さでそのあたりが気にならないようになっていたが。
 
【小芝居と猿芝居】
ついに煙を吹くようになったゲオルグ。「また俺は多くの部下を死なせちまった」と男泣きになくハック。帽子で目元を隠しながら討伐軍に有益な情報を与えるボラー司令。「許せ」と呟いてからバイオラプターを倒すザイリン。反乱軍を討伐軍と言い換えてからラ・カンと手を結ぶボラー……など、「おっ」と思わせる小芝居が色々と見られた。
一方で、ザイリンを睨みつけて走り出すルージとか、通信冒頭でのボラーの拳固めた「悔しいぜ」ポーズとか、ラ・カンの「邪魔はさせん」ポーズとか、変な芝居もあれこれと……。シーンによって演出家が違うわけでもないだろうに、どうしてこんなことに?
 
ゾイド戦】
山場のソードウルフvsバイオトリケラはもちろんのこと、ラプターの首をつかんでグルッと回って止めを刺すソウルタイガー、棺桶をスケートボード代わりにして滑走するデッドリーコングなど凄まじい描写が多かった。ゾイドのアニメはまた無くなるとのこと、このノウハウが継承されずに終わるのは惜しい。