ゾイドジェネシス#36「ほころび」感想

「味方の想いも一様ではない。優先順位のちょっとした差から悪意に拠らない『反乱』がおきることもある。ルージはどうやってそれを鎮めるのか?」、という狙いどころは面白いのだが……う〜ん。この番組にはよくあることだが「よくぞこんなところを物語に汲み取った!」と表裏一体で「でも肝心のストーリーがほころんでます」な、残念な回だった。
難点はまず第一に、ラ・カンたちが檄文を送ったさいに非戦派は街の外へ追放した…もとい戦争を厭う人たちには疎開を促した(第23話)のだから「何であれ討伐軍を快く思わない人間はそもそも少数だろう」ということ。そりゃまあ、いざ始まってみたら色々と考えも変わった者もあろうが(直接攻撃も受けたし)、これまでそういう描写が無かったからねぇ。「討伐軍の補給の為に一般市民が困窮している」くらいは匂わせてもよかったのではないかと。
第二に、これが一番大きいのだが「キダ藩再興優先派は討伐軍を締め出した後どうするつもりなのか、全くワケがわからない」こと。討伐軍との関係を悪化させたらまともな戦力は無くなるのに…。ディガルドに「討伐軍とは縁を切ったから見逃してください」とでも言うつもりだったのか? 大体、旧キダ藩が地理的にディガルド本国に近い以上は徹底抗戦しかないはず。いやホントに、何をどうするつもりだったのか理解不能だ。
第三に、実に無様なラ・カンの無能っぷり。「私が話せばそれは命令になってしまう」って、いいんだよ! 命令で!! とりあえず今の事態を収拾して、それから話し合いの場でも設ければいいだろ!! こんな調子のヘタな対応でキダ藩も失ったんだろうな……。こうまで無能だと、ルージが「俺、ラ・カンにならついていきます!」と担ぎ出したことも、ダ・ジンやティゼが従っていることも解せなくなってくる。
第四にシリーズ構成上、無くてもいい回だったこと(苦笑)。いや、かつてゼルフトの街では大局を見ずに一人で勝手に熱を吹いていたルージが、今は「ディガルドの支配を受けて苦しんでいるのはキダ藩の人だけじゃないんだ!」と言うほどになりました、という話なのはわかるんだけど……今改めてやる必要はあったのだろうか。
まぁ、これらの難点に目をつぶれば、それなりに見応えがありました。
【ミィ様】
今回の主役はやっぱりミィ様。お風呂に食事に素敵なお洋服で懐柔されたかと思いきや、はしたなくも下着姿で大暴れして、そのうえ最後には姫の正装まで披露、と八面六臂の大活躍でした(言葉の使い方が微妙に間違ってます)。姫様状態のときの毅然とした声には「え? こやまきみこってこんな演技ができたの?」という意味でも意外な一面を見た思いだった(コラコラ)。それにしても「双方、刀を引きなさい!」「黙りなさい!! レ・ミィの名においてダジンに命じます!!」って、ほらラ・カンよ、結局最後は命令しないと解決しないでしょ(苦笑)。
ゾイド
ダ・ジンのランスタッグがPボタン連打っぽい技で大活躍。シールド回転を有効に使ったのも今回が初めて? 一瞬でエヴォルトしたムゲンライガーがその槍を十字に組んだ剣で受け止めた(受け止めていた)のもなかなかのカッコよさでした。
【次回】
今回の「空からなら簡単に入れるんだな」の台詞を受けるように(ソウタのケントロが空から来るのは予想してくせに何を今さらと思わなくもない)、次回はラプターグイによる大空襲。でも対空兵器ってせいぜいバンブーランチャーくらいでは? 討伐軍はどう戦うのやら。一方、実は生きていたソウタの今後の去就も気になるところ。