ゾイドジェネシス#42「密会」感想

密会するロンとフェルミ。二人はともにソラノヒトであり、反ディガルド活動の支援が目的だったロンがルージに注目していたのに対して、ジーンの監視が目的だったフェルミはソウタに目をかけていたのだ。だがフェルミの行動は既に本来の目的から逸脱していた。ソウタの死すら悼むでもなく「壊れたおもちゃ」と言い放つ。それを物陰で聞いていたソウタはショックを受け、ついフェルミの前に出てきてしまった。フェルミはソウタとロンをもろともに亡き者にせんとするが、そこにルージのムラサメライガーが割って入る。疲労がピークに達していたルージは苦戦するが、仲間たちの助けによってフェルミを撃退。かつての仲間に切り捨てられたソウタもまた、ルージの新たな仲間として迎え入れられたのだった……というお話。

「ルージが色々と一人で背負い込んでしまい過労に」という流れと「ソウタが過去を思い出す」「だがフェルミはソウタを見限っている」という流れとを、「仲間がいる」というキーワードで括って一話で片付けたのは見事なのだが、話の流れは大ざっぱという印象。「ベタな描写をやってみたら、それがそのまま超展開になってしまった」という部分もあって、お花畑をうふふふふ〜で走りまわるイメージもアレだが、やっぱり「ルージ危機一髪!」のあたりがスゴイ。仲間が横一列に並んで順繰りに「この程度でルージを倒せるなんて思わないこった!」「覚えておくがいい」「ルージには」「私たちが」「ついていることを!」「そうよ、仲間がね!!」ってあたりは一体どこの戦隊ものかと(苦笑)。「どうやって助かった?」とか「いつの間にそろった?」とかは禁句なのだろうが、やっぱり気になるよねぇ。

【ソウタ】
脚本に問題を感じるなかでも、特にギンちゃんの記憶喪失の扱いに関しては不満が大きい。「上げて落とす」という作劇の基本でいったら、バイオプテラを見ることで完全に記憶を取り戻して、ミィに後ろ髪引かれる思いながら、それでもなおフェルミの元に駆けつけて、そこで「壊れたおもちゃ」扱いされてショック! というほうが盛り上がったし、ルージ一派の仲間入りという結末もスッキリいったと思うのだが。設定面では「とんなゾイドでもすぐ乗りこなせる」ことが判明。これはまず間違いなく、ギルドラゴン復活に向けての伏線でしょう。

【討伐軍の皆様】
まぁそうした掘り下げ不足や変な演出はいろいろ見られたものの、キャラ立ては概ねうまくいってたと思います。最後の場面、ダ・ジンが大慌てで飛び込んでくると、肖像画を描かせていたラ・カンが照れてしまう、なんてあたりはソウタとの関係の変化を短い中で描いていて好印象でした。コトナの眼アップ、口元アップときて足払いのシーンは、やや演出過剰のきらいもありますが、コトナにはこのところ目立った出番がなかったしキャラの使い方としてはこれもアリでしょう。