夢のエンジン

怪奇大作戦 (影丸・中城版) (マンガショップシリーズ (23))』を読んでいて、漫画本編とは関係の無いところで面白かったのが、当時の雑誌記事(少年キング・68年第40号)を小さく掲載したページ。SRI専用車・トータスの図解が載っているのだが、エンジンがなんと「超小型ロータリーエンジン」となっているのだ(実車はスバルの軽トラック・サンバーがベースなので当然レシプロ、それも2スト)。
そういえば、と本棚から『別冊宝島・特撮スーパーマシン大全』を取り出す。ああそうだ、トータスのみならず、ウルトラ警備隊のポインター(67年「ウルトラセブン」)も、マッハロッド(72年「超人バロム・1」)もロータリーエンジンということになっている。ある時代、ロータリーは未来を象徴する夢のエンジンだったのだろう。 
もっとも、その時代に前後して、現実にロータリーを積んだ車が登場するため、「夢」の時代はごく短かったようだ。マットビハイクル(71年「帰ってきたウルトラマン」・コスモスポーツ)は別格としても、フライングタイガー(73年「ジャンボーグA」・サバンナRX-3)やマリンカー(73年「ファイヤーマン」・カペラロータリークーペ)となると、ロータリーであることはさほど重要ではなかったと思える。 
そして73年、オイルショックが起こる。燃費の悪いロータリーエンジンは槍玉に上げられ、マツダはそのラインナップを大幅に縮小した。夢のエンジンはやがて現実の一部となり、そして現実に敗北したのである。