マスコミの嘘を見抜く#2

(承前)軽量車転覆説を採用して以来、何をトチ狂ったか毎日新聞は「軽量化イコール悪」を印象付けるキャンペーンを始めます。
新潟中越地震 検証・新幹線脱線 軽量化に危うさ潜む(10/25)】「新潟県地震による上越新幹線脱線事故は、旧型の重い車両のおかげで転覆を免れていた可能性の高いことがわかったが、業界ではスピードアップのために軽量化が進んでいるのが実情だ。」
上越新幹線脱線…「つばめ」大丈夫? JR九州も衝撃、対策検討(10/27)】「上越新幹線「とき」は旧式の重い車両が幸いして転覆を免れた可能性が指摘されているが、九州新幹線「つばめ」の車重はその3分の2しかない。」
【記者の目:上越新幹線事故の教訓=斎藤正利(社会部)(10/29)】「脱線した200系は初代新幹線「0系」を改良した安定感のある車両で、重量は1両約60トン、耐寒性や衝撃にも強いアルミ合金製。」
「嘘も百回繰り返せば本当になる」と言ったのはナチスドイツのゲッベルスでしたか。繰り返し記事にすることで軽量車転覆説の認知度を高めていきました。相変わらず根拠は示していません。
とはいえ、さすがにそれだけではマズいと思ったか、意に沿う見解を示してくれる学者先生、あの桜井淳を引っ張り出してきました。【特集WORLD:新潟中越地震 上越新幹線脱線事故は何を物語るのか】(11/4)」です。しかしそこまでしても肝心の、
「1両約60トンと新幹線の中で最も重い車両だったため、脱線しても比較的まっすぐ進み、転覆を免れたという。」
との部分は、センセイの発言ではなく地の文です。そこで、またしても、あたかも一続きであるかのように錯覚させる形でセンセイの発言が入るのですが……。
「軽い車両はP値がもともと小さく、脱線の可能性は大きい。」
ええと、元々の問題は「軽い車両は転覆しやすいか否か」ですよね? 脱線しやすいか否かはこの際関係ないっつーか現に重い車両が脱線してるじゃないですか。激しく脱線しているのはむしろ論旨のほうで、
「軽量化で材質を鉄からアルミニウム構造材にし、車体は弱くなっていると見られます。」
見られます、ですか?
「軽量化車体が脱線したら、高架橋の側壁を破って下に落ちてしまう危険性がある。」
軽量化車体でなくとも、脱線して高架橋の側壁を破ったら下に落ちると思うのですが……。
「観光バスや私鉄の観光列車も、窓を非常に大きく取っています。見た目には快適で近代的だが、車体を軽量化すれば、ぜい弱化も進む。」
窓を非常に大きく取ることと軽量化、話がつながってませんよ? 最早ただの言いがかりです。ここに至ってもなお、このキャンペーンの出発点の「事故車両は重量があったためにからくも転覆を免れた」という説は根拠が示されていません。軽量化の危険性を示す実例が無いまま、脱線車両並に暴走しているのです。 (続く)