東北旅行#9 / 石巻

7月19〜21日の東北旅行の続き。この夏はとにかく大雨の日が多いのでいつの事かピンとこないかもしれないが、7月20日も確かに大雨だったのである。

明けて21日の朝、朝6時前の一ノ関駅東北本線ホーム。前日の湿気がまだ残っていたか、街は朝もやに包まれていたのだった。5時57分の上り列車に乗車。

6時43分定刻どおり小牛田駅着。台風、ではなかったが台風一過と言いたくなるスコンと晴れた青空が広がっていた。ここで石巻線に乗り換えて(7時11分発)、目指すは石巻駅


石巻駅7時55分着。最初から国鉄が開業した石巻線と、元々は私鉄だった仙石線とで駅が別々になっていることが特徴だった石巻駅だがその不便も1990年に解消。今はとにかく石ノ森章太郎ゆかりの土地の駅であることを強く主張している。

この街にもまた、津波被害の痕跡がまだ生々しく残っていた。住宅地(だったであろう土地)の合間にポツリと空き地が広がり、応急処置なのだろう、1階の窓の部分全てに板を打ちつけた家なども多数みられた。

旧北上川の川べり近くに立っていた土蔵。津波によく耐えた、というべきなのだろうか。

時間貸しの駐車場の看板が、傾いたまま今も放置されている。


そんな街中にあって、この「旧観慶丸商店」のような歴史的建築物が健在なのが喜ばしい。この建物は現在、石巻市の所有となり、2015年秋オープンを目指して「1階で震災と建物についての展示、2階で石巻の歴史文化についての展示を行う予定」とのこと。その後でまた来ることもあるだろう。
http://ishinomaki.keizai.biz/headline/235/

旧観慶丸商店と道路を挟んで向かい合う(並ぶ?)「旧東北実業銀行」。石巻の情報を収載した百科事典・マキペディアに詳しい。
http://makipedia.jp/mediawiki/

駅前通りをまっすぐ進むと突き当たる鳥屋神社。「からすや」かと思ったら「烏」でなく「鳥」で、「とやじんじゃ」と読むそうだ。

その境内の片隅で、ちょっぴりホラーな風景。何故こんなところに、何故こんな形で放置!?

どうやら男女で一組と見られ、神像とも仏像とも思えない「ふつうの恰好」の「ふつうの人」で、しかし妙にリアルな造形で、実在のモデルがいたのではと思われる木像だ。あるいは、供養のために故人の姿を彫ったものかもしれない(前日に遠野市立博物館で見た「供養絵額」を連想しただけで根拠は無い)。

ひょっとしてこれもまた、津波によって流されてしまって元の持ち主が見つからないために神社に納められたとか、所有者はわかっているがその親類含めてみな行方不明であるとか、そんな事情もあるのではないか? まぁ、それにしたってこんな形で放置しなくとも……と思う。


そして石巻の最大の観光スポット、石ノ森萬画館。川の中州に位置することから、ここもまた津波で甚大な被害を受けたものの、1年8カ月もの時間をかけて復旧を果たして現在に至る。

ガンツ先生をやり込めてチョーシこいてる風のロボコン

館内のベンチには仮面ライダー1号が、妙に偉そうなポーズで腰かけていた。
 
さて、展示内容だが、ある世代の(上下に結構幅の広い世代の)日本人ならば、好むと好まざるとに関わらず何かしら関連作品に触れているのが石ノ森章太郎だから、無難というかナンというか、誰が言ってもそこそこ楽しいと思う。ただ名前を貸しているだけと言っていい現行「仮面ライダー」関連の展示もあり、今の子供たちも退屈しないだろう。正直あまり期待していなかった私でさえ、大人800円という入館料分は確かに楽しめたし、機会があればまた来ようかとも思った(というのは時間の都合で映画が1本も見られなかったから、という理由もある)。

まぁ一番面白かったのは回廊に貼られた、作者自らによる演出解説入りのマンガ「龍神沼」だったんですけどね。この解説は伝説の名著『マンガ家入門』に収められたものだそうで、なるほど、こんなのを読んでしまったら少年少女達はマンガの面白さ・奥深さを知り、ついついマンガ家を目指してしまうだろう。

石ノ森章太郎のマンガ家入門 (秋田文庫)

石ノ森章太郎のマンガ家入門 (秋田文庫)

あ、復刻版なら今も容易に買えるんだ。ミュージアムショップには置いてなかった気が……。
 
お土産に「サイボーグ009」の飴を買い、石巻駅から今度は仙石線に乗って南へ向かう。