あの日見た店の名前を僕達が知っていようといるまいと

13日、KABUTOM RX-03を見るために(10月13日付「カブトム大地に這う!」秩父鉄道に乗ったので、ついでに秩父にまで足を延ばした。どう「ついで」なのかはツッコミがあった場合に答えることにして、ともかく秩父駅に着いたのは夕方5時前。まともな観光ができる時間でないが、なぁに私には元よりマトモな観光をするつもりはない。

真っ先に向かったのはこの「Self Service Store」。ストリートビューで事前に確認していたが、現地に来たのは9年ぶりだ。

2004年6月撮影。どっちがどっちかわからなくなるほど変わっていない(見比べると窓の格子などに変化が見られる)。店の名前は「あさや商店」。ウェブ検索で電話番号等が確認できる。
"Self Service Store"「セルフサービスの店」というのは、今でいうスーパーマーケットのこと。1953年に青山の紀ノ国屋が日本初のセルフサービス店として開店して以後、60年代までは「スーパーマーケット」よりも「セルフサービスの店」のほうが一般的な呼称だったようで、1958年に設立した業界団体は「日本セルフ・サービス協会」と言った。
また、日本語版ウィキペディア「スーパーマーケット」の項にもこうある。

SSDDS・セルフデパート
SSDDSは「Self Service Discount Department Store」の略で、直訳すると「セルフサービスによる割引料金の百貨店」になる。また略して「セルフデパート」と呼ばれたりしていた。これまでの百貨店並の品揃えで、かつセルフサービスを採用して安売りを行っていた。SSDDSは流通用語でもある。両語とも、スーパーマーケットの用語が一般化する前の1960年代頃、使われた用語である。一例としてダイエー三宮第一店(1963年開店、1995年閉鎖)が開店当初名乗っていた。

さて、ではいつ頃、なぜ、「セルフサービスの店」や「セルフデパート」から「スーパーマーケット」に変わったのだろう?

一般社団法人日本スーパーマーケット協会の協会沿革を見てみる。
http://www.super.or.jp/?page_id=27
「1958年 日本セルフ・サービス協会設立(3月26日)」は既に書いたとおり。1971年には「第5回セルフ・サービスフェア開催」が開催されているが、75年には「スーパーマーケット従業員手帳」が刊行されている。この頃既に「スーパーマーケット」が一般化していたとみていいだろう。

80年には各都道府県で「スーパーマーケット協会」の結成がはじまり、82年には日本セルフ・サービス協会とは別に「全国スーパーマーケット協会」が設立する。この頃にはもう「セルフサービスの店」は業界用語となっていたのではないだろうか。そして2009年に日本セルフ・サービス協会全国スーパーマーケット協会が合併、2010年に「新日本スーパーマーケット協会」と改称して、セルフサービスの店はいよいよ死語と化したのだった。

さて、時期はまず70年代前半とみていいだろう。問題は理由だ。「セルフサービスの店」から「スーパーマーケット」に変わった理由とは何か?
……うーむ、また調べようのない謎だ。スーパー各社の年史をあたるとこから始めて、大宅文庫でスーパーが舞台となった事件を追ってみるとかか。
 
(↓昔取り上げた記事)
http://gray.ap.teacup.com/unknown/2.html