「ベストカープラス」スバル特集号

スバル関連の出版物は雑誌も書籍も山ほど読んできているから過去の名車や歴史の話題に新味を感じないし、ラリーと無関係な現行&次期WRXはどうでもいいと思っているけれど、それでもこの「ベストカープラス」はブログに書きたくなるほどの好企画山盛りだった。なんつっても表紙がスバル360、初代アルシオーネ、現行WRXの並びですよ! まァ『J'sティーポ』あたりでもやりそうですけどね。以下、面白かった記事を箇条書きで。
 
「笹子トンネル事故で伝説となった…あのインプレッサは今」
カラー1ページ。今どうなっているかというと、事故当時のまま工場に置かれているというだけなんですが、やっぱり気になるよね。車を預かっている中津スバル販売の社長は「もう普通に乗れるようにはならないでしょうね。とりあえず動ける状態にはもっていきたいと思います」とコメント。
 
「その走り&楽しさ、健在なり」
カラー5ページ。スバル360、ff-1 1300G、アルシオーネVRターボ、アルシオーネSVXを新井敏弘が公道試乗。ff-1を絶賛しているのが意外というか興味深い。逆に、スバル360は車を用意した中津スバルの社長にまで「アレはかわいいだけ、ですよね」と言われてる(笑)。担当編集による、軽いから乗って楽しそうだと思ったというフォローも、「軽いっちゃ軽いけど、接地もしてないからね」と新井選手はバッサリ。
 
「スバル車の証 六連星の変遷」
カラー1ページ。26種もの六連星のエンブレムを並べて紹介。大ざっぱに、「最初期」「外枠が楕円」「配置が実際の六連星と無関係」「星と星がつながった」くらいの分類で4、5種を紹介する記事なら過去にも読んだことがあるが、これほど並んでいるのは初めて見た。
 
「サンバーに人生を捧げた男」
モノクロ4ページ。1967年の入社以来サンバーの開発に関わり続けてきた尾林隆夫氏のインタビュー。今では生産されていない車、それも軽トラのことでインタビュー記事という企画がそもそも凄い。そしてよくこんな人を見つけてきたもんだ。
「赤帽とJAという両極端なユーザーに鍛え上げられ、過走行にも過積載にも耐えられるクルマになっていったんですよ」「(開発部門に配属された若手社員が)設計のノウハウや手順を覚えるのにいい教材だった」など。赤帽サンバーのテスタロッサなカムカバーの誕生秘話も興味深い。
 
「開発担当たったひとりからの大躍進 アイサイト 悲喜こもごもの24年開発秘話」
モノクロ3ページ。悲喜交々っていうか紆余曲折? 「先代レガシィは一世代で3回もタイプの違う運転支援システムを搭載しているんですよ」というあたりが発展途上の機器開発の大変さを物語る。
アイサイトの売り文句について、

マーケティングはアイサイトを「ぶつからない」というCMで訴求したいと言ってきました。でも技術者としては「ぶつからない」とは言えないんですよ。技術に絶対はないわけで「それは勘弁してくれ」と相当にやり合いました。

好きだねぇ、こういうエンジニアらしい真面目さ。結局はクエスチョンマークひとつで妥協しちゃうんですが、「ぶつからないクルマ?」のコピーでスバルの代名詞的存在になったのだからまぁイイや。
 
惜しいのは、スバルと無関係な記事が中途半端にポツポツと載っていること。まぁ「ベストカープラス」は毎度そういう構成なんですが、本誌「ベストカー」があるんだから増刊号の「プラス」は一冊まるまる一社特集でいいんじゃないかなー。



(9/20追加)
↓中津スバルの社長が取材についてブログに書いていたのを見つけたのでURLを追加。
http://bfaction.exblog.jp/19895728/