『俺と疾れ!!』20世紀編

俺と疾れ!! 自動車評論30年史 激動の20世紀編

俺と疾れ!! 自動車評論30年史 激動の20世紀編

amazonの書影には無いが、オビにスバルアルシオーネSVXの写真が使われていたので購入。

だが本文ではわずか1カ所、1991〜92年COTYの10台のノミネート車のひとつとして出てくるだけだった。

ベストカー』に長年連載されてきた人気企画「俺と疾れ」を中心に、同誌に掲載された徳大寺氏の遺稿傑作選です。
激動の20世紀に、クルマはもちろん、ワインや葉巻、旅行など、徳大寺氏が愛したものについて、さまざまな切り口で書かれた一冊となります。珠玉の原稿群から本書は1984〜2000年に執筆されたものをセレクト。
日本車が大きく躍進し、世界に追いつき追い越した頃、徳大寺氏は何を語ったのか。当時に思いを馳せながら楽しめます。

とまぁ、こういう本。16年分の連載からセレクトしたことで、この間の自動車の進化、自動車を取り巻く状況の変化が伝わってきます。それも、日本車が最も劇的に進化を遂げた時期の前後だから読み応えがある。今では伝説の名車扱いのAE86(AE85)型レビン・トレノについて「FRとして残った理由は、たぶんFRが作りやすかったことが最大のものだと思う」と突き放した評価をしているあたりも面白い。良くも悪くも徳大寺氏独自の価値観(穏当な表現)が色々とほとばしっていたりしますが、それらも含めて貴重な「時代の言葉」だと思えます。

ただ、取り上げている自動車について、編集者による解説が全く無いのは問題でしょう。例えば最初の記事、「1984年4月号」でGT-Rを取り上げているんですが、さてそれは何故? おそらく、同年2月に6代目スカイラインR30型)にインタークーラー搭載のホットモデル・ターボCが追加されたにもかかわらず、GT-Rを名乗らなかったためだと思うんですが、これは当時の『ベストカー』誌でも開かなければ確認できない話。そうした記事がちょっと多めで、何かしら解説が欲しいところです。