大日影トンネル遊歩道

前回までのあらすじ。

金谷駅近くの廃トンネルを訪ねた暗之云。だがそこは既に埋められた後だった。
http://d.hatena.ne.jp/UnKnown/20130322

暗之云は浜松に戻り、亀山トンネルに向かう。そこで見たものは、遺構とは名ばかりの、小奇麗に整備されたトンネルだった。
http://d.hatena.ne.jp/UnKnown/20130328
二度の裏切りに、暗之云の胸にはぽっかりと大きな穴が空いたかのようだった。トンネルだけに。
本物の遺構が見たい。本物の古いトンネルを。その想いはいつか狂気となり、暗之云の体を蝕んでいった。
(いや、待て! 確か中央本線にあったはずだ。そんなトンネルが!!)


というわけで、ちょっくら勝沼まで出かけてきた。
本当は、18きっぷの使用期限が近づいてきたため、片道3時間くらいの適当な場所にないか、北関東・東北は低気圧を追いかけることになるから×、房総はこの前行ったし、東海道本線も静岡旅行で往復したし……で中央本線に向かっただけ。

こんな感じで。

大日影トンネル遊歩道(おおひかげとんねるゆうほどう)
明治36年から平成9年まで中央本線下り線として使用されていたトンネルを遊歩道として整備。トンネル内には鉄道標識・待機所・水路が当時のまま残されています。壁面や天井には昭和6年に電化されるまで走っていた蒸気機関車の煙突から排煙された煤が黒く付着しています。
http://www.yamanashi-kankou.jp/kankou/spot/p2_3188.html



作業員向けの注意標示なども概ね現役当時のまま残されている。

水が湧き出ているところもあった。

パネル展示などもあり、標準的な所要時間は片道30分ってことになっている。私は撮影したりなんだりで35,6分かかった。この先にはさらに廃トンネルを利用したワインカーブがあって一部は見学可能とのことだがスルーした。

基本、来た道を戻るしかない。1367.80mなのでわき目をふらずに歩けば20分程度。

勝沼ぶどう郷駅周辺にはトンネル以外にも見所がある。静態保存のEF64 18。

駅からトンネルとは反対側に向かうと、単線時代の勝沼駅ホームがある。ホーム上に桜の木が植えられていて、保存とは言い難いがこれはこれで見応えはある。

線路の下に、何やらレンガ構造物が埋められた跡を発見。

下に降りると、煉瓦造のガードがあった。

菱山道路隧道
この隧道は通称「菱山ガード」と呼ばれ、長さ29m、幅3mのレンガ積アーチ構造の隧道です。2つの隧道が連結されており、上部は明治36(1903)年中央本線開通当時に造られ、下部は大正2(1913)年勝沼駅開設に伴い、スイッチバックの引込み線を通過させるのに造られました。使われているレンガをみると、明治のレンガは焼きむらや変形などばらつきがありますが、大正のレンガは少ないことがわかります。短い年月の間に製造技術が進歩したことを示しています。


右が大正、左が明治。視線を上にやると……。

継ぎ目でデコボコになっている。明治トンネルの上端が露出しているのが、先ほどの「埋められた跡」に見えたものの正体だった。

中央本線の駅の多くがこんな感じだが、勝沼ぶどう郷駅はかなりの高地にあるため、駅前からの眺めも良好。ていうかここから市街地まで降りていく気にならなかった。