天浜線気賀駅の周辺

3月3日、浜松駅前からバスに乗ってまず向かったのは、天竜浜名湖鉄道天浜線)気賀駅。前日、掛川駅で入手した「天浜線てくてくMAP」によると駅近くに「昔の街並が残っている」といい、また「天浜線文化財めぐりの旅」というパンフレットによれば駅の本屋やホーム上屋以外に「気賀町高架橋」という文化財(国の登録有形文化財)があるという。

……予想していたとおりだが、これが文化財だといわれても首を傾げる人は少なく無いだろう。

南側から見る。

都田川寄り。まぁ、ただのコンクリート橋ではある。
ウラを取っていない、ただの推測なのだが、これはおそらく一種の戦争遺産だ。この橋を含む区間国鉄の路線として開業したのは1938(昭和13)年、既に戦時下といっていい時代だ。金属は軍需に優先的にまわされたため、ふつうなら金属のガーダー橋を架けるような区間もコンクリート橋となったのである。「そんな差し迫った時代なら、そもそも鉄道路線を新設する余裕がなかったのでは?」と思うだろう。そこにもまた戦争が影を落としている。二俣線は、海沿いを行く東海道本線が艦砲射撃によって不通になった場合に備えて、バイパス線として建設されたのだ。軍事の都合で建設された路線の、軍事の都合でコンクリートになった高架橋だといえば、その文化財としての価値がわかるだろう。
……と思うのだが、そういう解説は見られないのであった。
文化遺産オンライン」には……。

第一気賀町高架橋と気賀架道橋、第二気賀町高架橋、井領架道橋からなる一体のRC造高架橋で、姫街道市道などを跨ぐ。全長九〇メートル。橋台とT形桁や単版桁の組み合わせや、ラーメン構造など場所により違える。
http://bunka.nii.ac.jp/SearchDetail.do?heritageId=213783

浜松市文化財情報/Vol.35」には……。

気賀駅の400m東に位置し、姫街道(県道261号磐田細江線)などを跨ぎ、市街地を横断するかたちで建設された一連の高架橋です。
近世以降、姫街道の宿駅として繁栄していた気賀町が、鉄道敷設によりさらなる発展を遂げる礎となった近代化遺産として貴重です。
http://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/square/intro/bunkazai/info/info_35.htm

いや実際どうなんだろうかこれ?

ともかくも、気賀の町には端々に古いものが残っており、中々いいムードだった。水路がある街はそれだけで好ましく思える。

玄関先に金属製のふとん叩き?が固定されていた。何なんだこれ? 歪んで写ってしまったが実物はほぼ左右対称形。

駅前。一見したところふつうの民家のようだが……。

軒下に古風な字体で「タクシー申込所」「料金表」と書かれていた。よく見れば瓦にも「運」の文字がある。上の写真の左手奥にガレージらしい建物があるが、ここはタクシー会社だったのだろうか?

「てくてくMAP」に「昔の街並が残っている」と書かれたあたりには、あまり目を引く建物は無かったものの、旧街道沿いなりの雰囲気が強く残っていた。
 

<3月1〜3日の静岡旅行レポート>
「航空自衛隊浜松広報館」 「浜松ディオラマファクトリー」 「遠州鉄道」
「弁天島」 「スズキ歴史館」 「大井川鉄道」
インターミッション
「天浜線気賀駅の周辺」 「奥山線の遺構【金指、亀山トンネル】」
「鴨江別館・木下恵介記念館」
「JR東海浜松工場〜堀留ポッポ道」