「ゆめのかよいじ」感想(原作ファン対象)序

えー。後で原作未読者向けの穏当なのも書くから、しばしのお目汚しを許してくださいね。それと、以下相当にボロクソ書いてますが、実際に観てる間は怒り出すほどのものではなかったと予め書いておきます。

それでは、まず大野安之の「ゆめのかよいじ」(便宜上「原作」と表記)のファンに向けて言うべき一言ですが……。ええと、「見ないで済むならそのほうが良い」です。ストーリーもキャラクターも、「改変している」というよりまるきり別の話。所々思い出したように原作準拠の場面があるのですが、そこがマァ原作をdisってると言われても仕方ない変え方で……。

お前ホントは原作嫌いだろ!?

と言いたくなるほど酷い。「テメェの考えた話で映画を撮りたいならタイトル変えろよ。そうすりゃこっちも観ずに済んだんだから。」が本音です。

特に百合スキー諸氏は、映画なんて無かったと思ったほうが精神衛生上よろしいでしょう。 えー、にわかには信じらんないでしょうがこの映画、男女のラブストーリーです。事前の予想として私は「幽霊女子の対極である生身男子を恋敵に加えて三角関係を成立させるというのも、アリといえばアリ」と書きましたが、三角関係どころではありません。「幽霊に取り殺されそうなヒロインを、男が現世につなぎとめる話」です。まさかとお思いでしょうがマジです。

なもんだから、基本的に【梨絵→真理】の片思い状態。「鉤引き」をしても真理はまるで楽しくなさげ(演技力の問題ではなくそういう演出)、真理が熱出して倒れる場面はあれど、そのときの夢で二人が結ばれる場面は無し。だったらお前、こんな場面だけ原作準拠で入れるなよ!

そもそも真理は「今の私でもいいんだったら……好きになって」を言わない。それどころか「あなたは私を通して昔の人を見てるだけ」とまで言い切るから、後々いなくなった梨絵を探し回るシーンがあっても、崩壊した校舎に向かって「梨絵さーん! 梨絵さーん!」とか叫んでも(最後までさん付けなのが映画での二人の距離)、「いつの間にそんなに想うようになってたんだ? とすんなり飲み込めない。
つづく