「ゆめのかよいじ」を観る前に諦めておくことその5

【幻想世界の映像がいいかげん】
ま、こういうのは「日本の実写映画」という時点で当たり前のようにダメだから、今さら諦めるも何もないけどね。
ただ、公式サイトの「プロダクション」を読むと……。
http://yumenokayoiji.jp/production/

カメラを担当した芦澤明子は、光や色を加えて表現する足し算の様式美ではなく、
逆に削ぎ落された真を引き算で表現する美に卓越した才能を持っている。
少女たちの美しさは決して派手なものでは無い。
若き日の淡い恋愛にも似た、お互いが共鳴する関係性の瞬間を必要最小限に磨き上げた
フレームで見事に切り取っている。

画づくりについて触れているのはこの部分だけ。幻想世界なんて表現する気は皆無らしい。梨絵の設定は幽霊というか精霊のままだから、現れたり消えたり半透明だったり、真理を異界にいざなったり、そこらへん描かざるを得ないはずなのに……。美に卓越した才能(笑)とやらでそこを補えるとは思えない。まぁ、フイと現れたり消えたりという梨絵の表現は特撮抜きの編集技術だけでやれそうだし、「狐のおさと」とか羅漢様あたりは出さなくたって話は成り立つけど、そのあたりを避けて「ゆめのかよいじ」を映画化することに何か意味あんの? って感じ。

「その1」に書いたように、現役の建物ながら半ば「異界」と化しているような歴史ある木造校舎(=大規模木造建築)で撮影したなら、その存在感だけで幻想世界は成り立ったはずなんだがな。



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