[車] 新しい高齢運転者標識の酷過ぎるデザイン

新しい高齢運転者標識のデザインが決定した。
「高齢運転者標識のデザインについての意見募集」で示されていた4案のうちのマーク2「四つ葉のクローバーをモチーフとし、シニアの「S」の文字を図案化したもの」が選ばれたのだが……。
これは酷い。酷過ぎる。これをデザインした人、これに決めた人は標識とペットマークの区別もついてないのだろうか? マーク3も同レベルで酷いものだがあちらはともかくも斬新なだけ擁護の余地がある。
単なるマークではない、れっきとした「標識」なのだ。私はデザインの専門教育など受けていないが、それでも「標識には2色以上使わない(白は地色として数えない)」という常識は知っている。ところがこれは4色が同程度の面積で混在しているから視認性が低く、しかもどういう意味なのか周囲に直感的に伝わらない。
言葉は悪いが、本来は周りの車に警戒を促すための標識だ。運転中のドライバーの目でも、遠方からはっきりとそのマークだとわかることが必須。さらに言えば、「意味はわかんないけどなんかヤバそうだから避けて走る」という気分にさせるマークでなければならない。もみじという抽象的な意味を持たせつつ、警戒色2色で構成される現行の高齢運転者標識はちゃんと考えられていた。

高齢運転者マーク:「もみじ」から「四つ葉」へ

四つ葉のクローバーをモチーフにした新しい高齢運転者標識
 警察庁は19日、70歳以上の高齢ドライバーの車に張る新しい標識を決めた。四つ葉のクローバーをモチーフにしたマークで、6月に公表した候補4点のうち、アンケートなどで最高の支持を得た。「もみじマーク」に代わる標識として年内にも導入する。

 新デザインは、大阪市のグラフィックデザイナー、松山幹生(みきお)さん(31)が考案。幸福を象徴する四つ葉のクローバーと、「シニア」を表す「S」の文字をデザイン化した。

 警察庁の検討委員会は6月、公募で集まった1万4573点から4点を選び、もみじマークの代替案として公表。その後の意見募集やドライバーへのアンケートで、松山さんの図案が最多の支持を集めた。このうち高齢ドライバーからの回答1775件でも、1位は松山さんの図案で678件、2位はもみじマークの368件だった。グラフィックデザイナーへのアンケートでは、もみじマークがトップだったが、検討委は「高齢ドライバーの意見を尊重すべきだ」とした。

 警察庁は「もみじマークを使いたい」との声にも配慮し、当分の間はもみじマークも認める。現行制度で高齢ドライバー標識の表示を「努力義務」としている点も変更しない。【鮎川耕史】
毎日新聞 2010年8月19日 東京夕刊
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100819dde001040097000c.html

「検討委は「高齢ドライバーの意見を尊重すべきだ」とした」……これを本末転倒という。高齢者に支持されるマークとは、つまり「高齢者が乗っていることを示すようには見えない」ということであり、マークとして無意味ということ。無意味なマークだから貼ってもいいよ、という意見を尊重してどうする。だいたい、デザイナーからして「四つの葉に若々しさを表現した黄緑と緑、豊かな人生経験を表す黄とだいだい色の4色をあしらい、」とトンチキなことを言っている。「若々しさを表現」している時点で高齢者標識ではない。もう少し考えろ。

産経ニュースによれば、現行のもみじマークの支持は「デザイナーへのアンケートでは、338人中132人(39%)と2位のクローバー(47人、14%)を大きく上回った」とのこと、まぁそりゃそうだよなと思う(専門職とはいえサンプル数338人に統計的価値があるのか疑問だが)。元より新マーク特需を狙っての改定で、どうあってもデザインを変更するつもりだったのだろうが、単なるペットマークではなく交通事故の抑止をお題目とした標識なのだ。こういう時こそ「専門家(or有識者)の意見」を優先すべきではないだろうか。