そんなこんなで「五島勉以前のノストラダムス」の4回目(#1は2007年3月28日付、#2は2007年11月25日付、#3は2010年8月16日付)。
ウィキペディア「ノストラダムス現象」によると、「「予言者」ノストラダムスの予言解釈の紹介を最初に行ったのが、作家の黒沼健である。彼は1950年代後半から1970年に刊行した著書において、欧米の信奉者の著書に依拠する形で、予言解釈の紹介を行った」のだという。でもって、「黒沼のノストラダムス関連の原稿は、『予言物語』にまとめられている」とのこと。
なので買っちゃいましたよ。
- 作者: 黒沼健
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1987/09
- メディア: 文庫
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清水一夫による巻末の解説は、ノストラダムスについて最初に日本で書いたのは誰かという話題について触れている。「昭和22(1947)年の渡辺一夫のほうが先ではないかと思ったが、戦後間もなく黒沼健の原稿が発表されたらしい」とかいう話に続いて、「ノストラダムスの大予言」ブームにも触れているのだが…。
先年日本のある人が書いた本をきっかけに、唐突にブームになった時には、もうお年のせいで以前ほど筆が進まなくなってしまっておられたため、大変にくやしい思いをされたと伝え聞いている。ちなみにノストラダムスの大予言を"大"の字を付けて呼んだのも、先生が最初だったのである。
黒沼健が活発に活動していたのはブーム以前と間接的に書いてはいても、具体的にいつとは書いていない。五島勉による大予言ブーム以前ということは60年代だろうと見当が付くのだが、どうにも不明瞭だ。そもそも文庫本なんてのは解説から読むものでなし、1987年に新刊として予備知識無しで手に取った読者などは、微妙に古い内容に戸惑ったのではないだろうか。
さて、それでは実際ノストラダムスの大予言の紹介はどんな調子か? というと、「予言ってのは、既に起きたことについて的中するもんなんだなぁ」という感想を抱かざるを得なかった。
チャールズ・A・ワードの『ノストラダムスの予言(オラクル)』は、(略)前世紀の終わり頃(一八九一年)の出版なので、今世紀以後の事柄については甚だ冷淡に扱われている。
それに較べると、ヘンリー・C・ロバーツの『ノストラダムスの全予言』は一九四九年の刊行だけに、その解説には現代の空気が多分に感じられる。第二次世界大戦に関係のある予言が随所にでてくるのである。
いやその、冷淡に扱われている…とか、現代の空気が感じられる…とかそういう問題でなくて、よーするに解釈を行った時点で既に起きている大事件を四行詩に当てはめてるだけなんじゃないの?
なお、ノストラダムスは太平洋戦争(日本とアメリカの戦争)や原爆投下を予言していた、という解釈はロバーツによるものが紹介されている。「言ってしまえば日本ローカルな予言」といって、その解釈をしたのは日本人では無かったのだった。