ビジネスとしてのプリキュア#2

前回のエントリの続き。ていうかはてなブクマはyahooでなく、本家プレジデントのサイトに一週間前にアップされた記事のほうに付いてるのね。アンテナが低くてお恥ずかしい。

大ヒット「プリキュア」に学ぶ
子どもマーケット攻略法

3〜6歳の女児から圧倒的に支持されているキャラクターがある。
日曜朝に放映されているアニメ「プリキュア・シリーズ」だ。
ヒットの裏には、既成概念を超えたコンセプトと、
親・子ども両者の思いを満たす細かな配慮があった。
http://www.president.co.jp/pre/backnumber/2010/20100830/15981/15986/
(『プレジデント』連載、職場の心理学 [248] )

で、この記事に関する他所のブログやブクマコメントを読んでいて意外だったことがある。プリキュアは「俗に美少女オタクといわれる人種に溺愛されることはなかった」……かどうか結果はともかくとして、少なくとも作り手の意識は「大きなお友達(大友)」排除の方向を向いていた。それは共通了解事項というか、オタにとってはもう常識といっていいレベルの話かと思っていたのだが、どうもそうではないらしい。

どういう言い回しだったかは忘れたけど、とにかく水着はNGだというのは、スタッフサイドの発言として散々流通していたし、現に水着回は無かったし、それが大友排除の方針の現れであることもかなり直接的に言っていたはずだ。

そしてそれを前提にしているから、「フレッシュプリキュア!」のキャラ表が出回ったとき、「胸がある」ことが衝撃だったのではなかったか。「ああ、プリキュアもいいかげん頭打ちだから自ら禁を解いて、そっちのファンも視野に入れていくのね」と思っていたら案の定、水着も解禁される。また、ラブコメ要素もお相手が「異国の王子様」から同級生になって、より現実に近いものとなる。それはつまり対象年齢層の向上の現れだ。

プリキュアもいよいよ手詰まりなのかねえ? と思っていると(フレプリが不出来だとかつまらないとかいう意味ではない、念のため)、翌年の「ハートキャッチ」はキャラデザインは「おジャ魔女」に戻り、主人公は二人組に戻り、「タイプの違う女の子同士が培う友情の物語」に戻る。いわば原点回帰だ。

この切り替わりこそがプリキュアシリーズの巧さだといえる。「コアターゲットは外さず、しかし対象年齢層の幅をコアより上にとったり下にしたり、コアとは外の層を排除したり取り込んだり」の振幅こそが、長寿シリーズに育った秘訣だろう。私はそこにこそ「デフレ不況を吹き飛ばす高付加価値型マーケティングの真髄」(爆笑)を見る思いがするのだが、如何だろうか。

それと「失敗学」的には「プリキュア」とは好対象のコンテンツとして、同じく「暴れる女の子」アニメでありながら商品展開はしょぼしょぼの腰砕け、番組のキーコンセプトまで迷走した挙げ句に消滅してしまった「しゅごキャラ!」がいかにして失敗したかの分析も欲しいところだ。