車上童(しゃじょうわらし)

愛車(愛機)が人格を持ったパートナーとして登場……という設定の作品はそれだけで無条件で歓迎するのであった。

AI:パト! (チャンピオンREDコミックス)

AI:パト! (チャンピオンREDコミックス)

http://d.hatena.ne.jp/UnKnown/20100806
というわけで予備知識無し、書店で見かけて手に取った作品がこれ↓
中島零の商業作品を買うのは「ナースウィッチ以下略」以来だな。
車上童 (ジェッツコミックス)

車上童 (ジェッツコミックス)

お爺さんの形見の車を取りにきたすばる。車の中にいたのは、座敷童ならぬ車上童の美々緒(びびお)だった。2人でお爺さんの故郷の北海道に行くことになったのだが、すばるは運転が全くの苦手だった。読めば旅に出たくなるロードムービーコミック (以下略)

というのが裏表紙のストーリー解説で、黒髪巨乳の残念系眼鏡っ娘・すばると、物の怪ロリBBA・美々緒が、軽自動車スバルヴィヴィオに乗って東京から北海道を目指す話なのでした。すばるは「物を食べてる姿がエロい」という、ドラマとしては全く無意味だが読者サービス的には極めて重要な設定が標準装備。道中の楽しみは「うまいものを食う」「温泉に入る」なので、どこに着いても毎度サービスカットがある、という。美々緒は美々緒で、多彩なコスプレを披露してくれます。

……などとキャッチ―な要素をまず取り上げてみましたが、作品の本筋は意外や健全。すばるはネガティブ気質で引きこもり気味なのが、美々緒と共に旅をするうちに運転の楽しみを知り、その視野を広げていく、というもの。中盤からはランサーワゴン乗りとその車上童も道中を共にします。取材というか実体験に基づくのでしょう、旅の過程は細かく描かれ、その楽しさが伝わってくる。併せて、運転下手のすばるが美々緒のレクチャーによってドライバーとして成長していく過程も細かく描かれており、公道運転のノウハウ集的な性格も備えています。

まー、読者サービス要素やノウハウ要素はいささか詰め込み過ぎというか、こなれていない印象も受けるんですが、ともあれ愛すべき作品です。これはこれで綺麗に完結してますが1巻で終わるのが惜しい。

……ものすごくどうでもいいけど、美々緒の見た目に似合うのはヴィヴィオの中ではRX/Rでなくビストロシフォンじゃなかろうか? と最初は思っていたのですが、北海道の目的地に着いたところで、ああなるほどそれならRX/Rでないと成り立たないわと納得。いやまぁ、それだとしても純粋に構成上の問題としてはRX/Rでなくてもいいんだけど、設定のこだわりとしてね。