20年前のガンダム風デザインとガンダムがコラボ

「デザイン用語ガンダム」について久々に。タグまで作ったくせに2年以上も発言が無かったのは、ぶっちゃけ飽きたから(笑)。飽きたというか、デザイナー自身が日産GT-Rは「ガンダム」に影響されていると公言し、さらにはそのデザイナーのチームがアニメロボットのデザインを手がけたことでもう「あがり」で、これ以上何も言うことが無いんだよね。

コレ→ http://d.hatena.ne.jp/UnKnown/20120402#p2

なので、新潟市がEVのデザインを大河原邦男にオーダーした(2013年秋の話題)なんて話を聞いてもフーンだったし、シャア専用オーリスに至っては「ただの特別仕様車だろ」と全く興味が持てなかった(ホントに興味が無くて全く情報を入れてないので「いや実はあれは単なる特別仕様でなくて〜」というならどうか教えてください)。

なんだけど、南海ラピートが運転開始20周年記念でこんなコラボ企画をやらかす。

機動戦士ガンダムUC×特急ラピート
赤い彗星の再来 特急ラピート ネオ・ジオンバージョン」4/26(土)発進!

 
機動戦士ガンダムUC episode 7 「虹の彼方に」の公開と空港線開業・ラピート運行開始20周年を記念し、機動戦士ガンダムUC南海電鉄の夢のタイアップが実現。空港特急ラピートが「赤い彗星の再来 特急ラピート ネオ・ジオンバージョン」で期間限定運行をするほか、特別イベントの開催や記念企画券、オリジナルグッズを販売いたします!
 
http://www.nankai.co.jp/traffic/info/rapit20th.html

現代の車のオーリスと違って、南海ラピートといったらポストモダンど真ん中じゃないですか! デビューは1994年、自動車や建築において揶揄的に「ガンダム」と呼ばれるデザインが現れた時代の産物だ。ラピート自体をその「ガンダム」の一例と見なす者もあっただろう。掲載号は覚えていないが矢作俊彦が『週刊ポスト』で連載していた「新ニッポン百景」でも、「ガンダムビル」の潮流などと併せて取り上げていたはず。

それが今さら……、「ガンダムっぽいデザイン」が20年という時を経て、公式お墨付きホントの『ガンダム』と化するというのが興味深い。

しかもコラボ作品は『機動戦士ガンダムUCユニコーン)』。こう言ってはナンだが、実態は「ガンダムから過度の影響を受けている何か」でありながら、サンライズお墨付きで元祖『ガンダム』の直系のように振る舞っているタイトルだ(作品自らが敵役に己を託してそう言及してるんだから悪口ではないよん)。そうした、ラピートとUCの相似形がわかってやってるコラボなら大したものだと思う。いや、わかっているわけがなく、だからこそ凄いともいえるが。

プロダクトデザインや建築は私には専門外だが(←当たり前である)、脱ポストモダンポストモダンの次を目指していたら、1周して20年前のポストモダンが目指していた地点に戻っちゃったという感じ。あるいは、目指しつつももう一歩届かなかった地点に20年がかりでようやくたどり着いた、という感じかのう。さらにいうと、「大きな物語」を失ってこれまで迷走し続けてきた文化がついに「ガンダム」という拠り所を……新たな「物語」を見つけたのだ〜と解釈すればモダンにまで戻っちゃってる(いや「大きな物語」ってそういう意味では。まぁ、フィクションであり範にもできない文字どおりの「物語」がちゃっかり成り代わっているという状況だとすれば、それは私好みではある)。

ついでに書いておこう。先日、デザイン用語「ガンダム」の原点を探りに自動車工業会のビルの1階にある自動車図書館に行った。「初代マーチターボの記事中にガンダムという表現があった」、それがどの雑誌かを確かめるためだ。新車紹介かインプレッション記事だろうと1985年4月号、5月号に絞り込む。閲覧したのは『カーグラフィック』『モーターマガジン』『NAVI』『モーターファン』、だがどれにも記述無し。デザインの評価自体は今にも「ガンダム」と呼びそうなムードなのだが……。『NAVI』は先進的だが非実用的らしいインパネにも触れており、そのあたりも「ガンダム」的かも? 同図書館はこの時代の『カーマガジン』(当時は『スクランブルカーマガジン』)を収蔵しておらず、そこで「ガンダム」が出てきた可能性がある。