HEROMANが面白い

タニス・リーとスタン・リーは時々どっちがどっちだったか混乱する。そこに時々スパイク・リーが混ざる。

というわけで、春新番の中で大化けした「HEROMAN」の話でも。

1話のときは「なんだこのかったるい展開は。敵の侵略が始まる前に終わるなんて論外だ」と思っていたが、その後も観続けていたら「1話はあれでよかったんだな」と思うようになった。2話で異星人の侵攻が始まってからこっち、まだ1日か2日しか経っていない。主人公が住む街の住人たちはその間ずーっと避難所暮らし。軍隊や主人公たちの小規模な抵抗はあるものの、敵はじわじわ勢力を広げて、地球人側はジリ貧状態。いつまでたっても日常に戻らない。だから1話は、平和な日常を厚めに描写したのだろう。

1話の描写が無いと、ヒロインの兄が敵の刺客になったところで、フーンてな感じだったろうとも思う。あれがあるから、単身(二人でだが)敵地に乗り込む無謀さが英雄願望だけでなく、主人公への対抗心にも根ざすとすんなり理解できる。無茶苦茶ヤな奴、だが決して悪人ではない、だけど敵となって主人公の前に立ちはだかる、という匙加減が絶妙なのだ。

まぁとにかく、「ヒーローマン」などという人を喰ったタイトルのくせに、ヒーロー物のパターンから著しく逸脱している。「小規模だが精強な軍隊による侵略戦争」をなんだか妙に真面目に描いているのだ。オープニングに1カットだけ登場する悪っぽい地球人集団は、洗脳とか改造とかでなく何かの取引によって侵略宇宙人に協力するんだろうか…。

というわけで私には目が離せない番組なのだが、これって一体、どういう層を対象視聴者に想定してるんだろうね? その得体の知れなさがまた面白いんだけど。