蒼天航路

ストーリーは形骸だけの悲惨なダイジェスト、映像としては漫画に色と音が付いただけの何の工夫もないアニメ、なのにそれなりに見られるのは、それだけ原作が面白いからなんだろうなと改めて思う。
つーかもう、「佞言絶つべし」の前のぐんにゃり歪むとことか、ちょっと前だけど「炎の宴」の曹操の舞とか、フツーに考えて「映像のおもしろさ」とか、「動きの美しさ」とか、アニメならではの見せ場になるとこじゃんよ。それを何で一枚絵とかバストショットの連続とかで描写するのか、理解できんわ。
ストーリーもなぁ……。限られた話数に織り込むべきことが多すぎて、あんな調子なんだろうけどさぁ。桃園の誓いなどという「蒼天航路」にはムダな要素に割く時間があるならもっと原作を生かしてくれよ……。
「佞言絶つべし」の場面は、あの後の張角の台詞削っちゃったら、ホントに佞言でしかねいげん。関羽は後の世に本当に神として祀られるから、あのやりとりに意味があるのに。
黄巾党が乱を起こす直前の、張兄弟のやりとりもねぇ……。あの前の、躊躇している張角の描写を削っちゃったらさぁ、「黄巾党の決起を促したのも実は「蒼天已死」の四文字だった! 曹操すげー!」って流れにならないだろ……。「我ら生まれし時は違えども」なんて陳腐な「名場面」に時間を割かずに、ちゃんと「蒼天航路」のアニメをやれってのよ。
それでも観続ける気になるのは、やっぱりそれだけ原作が面白いってことだよな。